夜から、

 そのまま世界を近くにして。夜をおそれない世界にあなたは住んで、緋いろにできた階段を、そうして上って、そうして降りて、手のひらには、星と、いくつぶかの砂をまぜかえして、夜をこわがる子供たちをつれて、……ゆくのね。扉が、虚空にあるの。すこし音を立てて。ゆくのね、しずかな音がいくばくかのせつなさを率いて……、くらい場所に。そうして秒針をもどして、影を灯りにして、時計が止まったの。止まったの。止まっていたの……そう、呼えてほしいのね、その停止に。かすかに移ろいはじめる、上気したほほに、pianoの音をとどけて。とまうどうように、ra, ra, sol...

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る