お父様!今時、深窓のご令嬢なんてもう古いのよ! ―伯爵令嬢は、旅をして婚約者を見付ける―

なるえ白夜

第1話 お父様、私は冒険で婚活します!

「待ちなさい!レーテローゼ!

 君は私の娘で、はくしゃくの姫君なのだぞ!」


「あら!お父様!そんな事、ちゃんと分かっているわよ」


 モンダーりょうオルドバァインはくこと、お父様はぞくらしからぬ大声で私をび止める。


 お父様はふうしんそうれいじょうが、一番女性がしあわせになれると信じてうたがわない。


 たしかに、二昔くらい前まではそうだったらしいのだけど……。


 今は女性も馬に乗り、男性といっしょりやつりといった、屋外でも共に行動できる女性が良いというふうちょうになっているのによ?


 私はマナーきょういくやダンスといった、ぞくじょらしい事はにがにがでも、ちゃんとじゅぎょうは受けて来たけどね。にがでも、ひつようだもの。


 にがじゅぎょう以外に、兄様達といっしょに、けんじゅつと魔法をならっていたの。だって、体を動かすって、おさまをたっぷりびるって、とっても気持ち良いんだもの!


 私はけんじゅつや魔法をならほうが好きだったのよね。じゅつも大好き!


 あ、ならっていたのは、もちもんお父様にはないしょでね。……まあ、バレていないはずはないのだけれど……。


 だから、十六さいになるのを待っていたの。


「お父様、ちゃんとてきかたを見付けるから、安心して!てきかたとうかいにしかいないなんて、そんな事はありませんもの!

 私はぼうけん先で、てきかたを見付けるわ!

 てきかたを見付けに、行ってまいります!」


 十六さい。それはせいじんねんれいせいじんすれば、女の子にもあるていゆうみとめられるようになるの。


 だから、私はこの時を待っていたのよ!


 ◇


「やれやれ……。本当に付いて来るとは……」


「兄上。レーテに『いっしょにグランドツアーに付いて来るか?』なんて聞いたら」


「付いて行くに決まっているじゃない!」


 グランドツアー。ぞくていがくぎょうの終わりに、他国へちょうりょこうする事をそうぶの。


 このぎょうは私たちがす、シュシェーナ王国に現れた転移女性がもたらした物の一つ。


 もう百年も前にくなっている女性なのだけれど、今でもぜつだいにんはくしている女性なの。そして、私のあこがれの女性!


 彼女が生きた国へ行けるなんて、すっごくわくわくするわ!


「女だからって、しきもっていて、何が楽しいのかしら?お父様はそれで女の子が幸せなんだなんて、どうかしているわ!」


 あいの上でふんがいするが、あいアブーはおどろいてあばれる事もない。さすが、私のあい


「いや、レーテ。父上の考えはちょっと古いが、が国のあらかたのぞくの考えはそうだよ?」


 とはちょうけい、サラール兄様。


ぞく女性が馬に乗るとか、つりぼうけんをするなんて、まだ新しいりゅうこうだからね」


 これはけい、ハルト兄様。


「新しいりゅうこうって、お父様とお母様がごけっこんなさるころにはり始めていたそうよ?それから何年っていると思っているの?」


 私はぷいっと、横をいてしまった。


「まあ、そうなんだけれどね……」


「学校も、まだ女性には開かれていない国なんだ。世の男のげんそうは、とてもぶかいんだよ」


「そぉーんな物、し付けないでもらいたいわ!女性のそうの男性がほとんどいないように、男性のそうの女性だってほとんどいないんだから!……多分」


「……そう……なのか?」


「兄上。私達のそうは、レーテが打ちくだいた……かもね……」


 うなずき合っている兄達が気に食わない。かっぱつな妹でごめんねっ。



 ともあれ私達三兄妹は、こうしてグランドツアーへとたびった。

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