素直になれない僕はVtuber〈前編〉

家に帰ってきた…


ふぅ…もう今日は何も食べる気分じゃない…お風呂に入って寝よう…


―――――――――――


風呂から出て歯を磨いて自分の部屋に来た…

このまま寝よ…

あっ…そういえば配信する予定だったんだ…

今日はやらないってツイートして休もうかな…


……………… いや……配信するか。配信して皆に慰めてもらおう…


僕はクローゼットの中からマイクやヘッドホンなど配信に必要なものを取り出した。そしてこの家の二階の一番奥の部屋に入る…

そこには机の上に3つのパソコンやキーボード、ゲーミングチェアなど様々な物が置かれている。 


そう、僕はVtuberをやっているのだ。

2年前から始めた個人勢だ。お金はたくさんあったので有名イラストレーターに描いてもらったのだ。水原MAKIという名前で男の娘Vtuberとして活動している。今はチャンネル登録者数12万人。個人勢では凄い方だろう…


「よし、始めようか…」


――――――――――


『皆、聞こえてる〜?』


〈待機〉

〈待機〉

〈きちゃ!〉

〈待機〉

〈聞こえてるよ!〉

〈wkwk〉

〈MAKIちゃん可愛い!!〉


『皆こんMAKI~!』


〈こんMAKI‼〉

〈こんMAKI〉

〈こんMAKI〉

〈こんMAKI〜〉

〈こん〜!〉


『いや〜今日は本当は配信休もうと思ったんだけどね… やっぱり皆に慰めてもらおっかな〜と思ったから配信することにしたよ!』


〈え、どうしたの?〉

〈大丈夫?〉

〈慰めてもらうって…大丈夫なのか?〉

〈何かあったの?〉


『あのね〜、僕失恋したんだ…』


〈失恋!?〉

〈え、まじで!???〉

〈てか好きな人いたんだ〉

〈結構重いのきたな…〉

〈恋愛は専門外()〉


『僕は幼馴染が居るんだけどね… その子にはいつも冷たく当たっちゃうんだけどね…本当は初恋で好きだったんだ… 素直になれなくて…』


〈ほうほう〉

〈分かる。なんか好きな人には素直になれないよなぁ〉

〈あ〜、〉

〈それで?〉


『それでね、今日学校に行って友達とお昼ご飯食べてたんだけど、その友達が言ったんだ…

その子が先輩と付き合っている噂があるって』


〈噂?〉

〈う、噂なの…?〉

〈ならまだ分からないんじゃない??〉

〈うん。まだチャンスあるかもよ〉


『うん…そう…噂だから本当か分からないんだけど、もしかしたら嘘なのかもしれないのだけど…僕がその子と付き合うことはないと思うんだ…』


〈付き合うことはない?〉


『その子は例え今回付き合ってなくても、いずれは僕じゃない誰かと付き合うと思うんだよね…

とても魅力的だし… 僕なんかは女っぽくて弱いし… 今まで冷たく当たっているから、今更優しい態度なんてとれないんだ… 』





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る