素直になれない僕と学校

学校付近で…


「学校で貴方と居て変な噂が出来るのは嫌だから、ここからは一緒に来ないでね!」


「分かってるよ!僕も別に一緒に居たくないし!」


本当は一緒に居たいんだけどな… 学校で一緒に居ても家と同じ態度を取っちゃうから無理か…


友莉が先に学校に向かったので、僕は数分ここで待ってから学校に向かった。


―――――――――――


僕は2年生の2-1クラスなので、第2校舎の一階に教室がある。


2-1の教室に付いたので扉を開けた。


ガラガラッッッ…


僕の席は窓側の一番前なんだ。よく日が当たって眠たくなるからあまり気に入っていない…

真面目に授業を受けているからね。


そんなことを考えながら席に座ると…


「おはよっーす!」


元気な声の挨拶が後ろから聞こえてきた。

この声は…


「なんだ。陽介か…おはよう」


「なんだとはなんだ。俺がせっかく挨拶しにわざわざここまで来てるのによぉ!それに声が小さいぞ!覇気がないぞ、覇気が!」


「別に挨拶は声の大きさは重要じゃないと僕は思っているんだ… それに挨拶しにわざわざここまで来てるとか言ってるけど、陽介の席はここから一個後ろの席だから大した距離じゃないでしょ。」


「そんな事は気にするな!」


「気にするなって… はぁ…まぁもういいよ」


今僕が話している男の名前は杉原陽介。小学5年生の時に同じクラスで、それから仲良くなった。小学5年生から高校2年生まで全部同じクラスで、今では一番の親友だ。陽介には何でも気軽に話せる。


「で、お前友莉ちゃんとまた学校の近くで分かれたのか?」


「う…うん…」


「ん〜… 何でだろうなぁ。中学最初の時まで普通にお前にも優しかったよな??」


陽介は友莉がいる廊下側の一番前の席を見ながら言った。


友莉と僕は一緒のクラスなんだ。


それで、友莉は中学最初の頃は僕にも優しかったのだ… 友莉が僕の家でご飯を作り始めて2ヶ月経ったときから冷たくなり始めた…


「やっぱり僕が嫌いなのかなぁ…」


「いや〜、少なからず嫌いじゃないだろ。嫌いなやつのご飯作らねぇだろうし」


「そ、そうかな…」


「あ、まぁでも友莉ちゃんは優しいからなぁ。お前のこと嫌いだけど仕方なく家事をしてくれてる可能性もあるな」


「上げてから落とさないでよ! 嫌われてたらおしまいだよ僕は…初恋なんだぞ…」


「初恋4年も続けてんのかぁ そろそろ諦めたらいいんじゃねぇの。正直友莉ちゃんの好きなタイプってお前みたいな女の子っぽい感じな奴じゃない気がするが…」


「うぅ… 諦められるならとっくに諦めてるよ…」


「まぁ友莉ちゃんはすげぇ可愛いもんなぁ。銀髪碧眼で凄い顔が整っていて、めちゃくちゃ優しいからまるで天使みたいって言われてるからな。学年…いや学校で一番人気だろ。好きにならない方がおかしいって感じがするし」


「じゃあ陽介は友莉のこと好きなの?」


「いや?俺にはめちゃくちゃ可愛い彼女いるしな。この前なんて駅前のカフェでデートに行ったときに「陽介君大好き!一生一緒に居ようね!」とか言ってきたしなぁ…まじ可愛い」


「知ってるよ。リア充が… いちいち僕の前で惚気けるな!!」


「お前も早くこっち側になれよぉ!」


「おーい席につけぇ!」


「うぁ、先生だ。もうそんな時間か…じゃあ席に戻るわ」


陽介や周りで話していたクラスメイト達も全員席に戻っていった。



―――――――――――





あれから授業を終えて、今は昼休み。

僕と海は一緒に食堂でうどんを食べている。


「やっぱりここのうどんはうめぇなぁ」


「そんなに美味しいの?」


僕は友莉が作ったお弁当があるので学食は食べてない。


「おう、一回啜ったらやめられねぇ」


「そんな事言っといてうどん啜る手止まってるよ。で、話って?」


「あぁ…それがなぁ…言いづらいんだけどさ…」


「…??陽介が言いづらそうにすることって今までなかったよね?そんなにやばいことなの?彼女と別れた?慰めてあげるよ?」


「いや、別れてない。彼女とは永遠にIOVEだ。それで…いいか…さっき聞いた噂だ…あくまで噂なんだが…

“友莉ちゃんに彼氏が出来た”って噂だ…」


「……っえぇ??ど、どういうこと??」


「なんかなぁ…この前の土曜日に駅で友莉ちゃんとあの3年生でサッカー部のエースの勇斗先輩が一緒に居たのを目撃したらしいんだよ。友莉ちゃんは楽しそうに笑顔を勇斗先輩に向けていたみたいだ…」


「ゆ、友莉ちゃんに…か、彼氏…? え??……」


僕の目には涙が浮かび上がり、混乱しすぎたのかそのまま倒れてしまった。




――――――――――


「う…うぅ…」


起き上がると、僕は保健室に居た。


「っ!…やっと起きたか!」


横を見ると心配そうな顔でこちらを覗いている陽介がいた。




「渚!まじですまん…!渚が倒れるとは思わなかったんだ!!お前には友莉ちゃんを諦めて新しい好きな人を探して、幸せになってもらいたいと思ってたが…渚が…友莉ちゃんを4年間もずっと想ってるって知ってたのに…好きという気持ちがどれほど重いか知ってたのに…渚の気持ちも考えず軽率に言っちまってまじですまんっ!!それに、まだ噂の状態なのに…!」


「いいんだ…陽介… 僕も…友莉ちゃんは魅力的だからいつかは彼氏が出来るって…」


「いや、まだ噂の状態だって…!」


「もし付き合ってるのが噂だけで嘘だとしても…友莉ちゃんはいずれは他の人と付き合うと思うんだ… 僕以外の誰かと… それに…友莉ちゃんは僕に冷たく当たっているし…僕も友莉ちゃんに対して優しい態度が取れないんだ… だから陽介の言うとおりここで諦められて良かったかもしれない…」


「な、渚…」


「だから…教えてくれてありがとうね…陽介…」


「な、渚…俺はっ!」


「今何時?」


「え…?」


「ねぇ今何時?」


「17時30分だが…」


「そう…じゃあ教室に行って帰るよ…陽介は部活あるのにわざわざここに居てくれてありがとう」


「お、おいっ!渚っ!」


僕は陽介をおいて教室に戻って行った。




「渚…そんな泣きそうな顔して言うなよ…」




渚が出ていった保健室で陽介が言った。











―――――――――――


教室に戻り鞄を持つ…

僕は友莉に今日は家にご飯を作りに来なくていい事を伝える…


ふと、窓の外を見ると、ベンチで座りながら楽しそうに話しているカップルを見つけた…


「僕も…」


「僕も素直になれたらああいう風なカップルになれたのかな…」


僕がもう少し素直になれたら…もう少し魅力的になれば…


「いや、僕じゃ無理か…」


はぁ……


「虚しいな…」


僕一人しか残っていない教室で僕の声が響く…


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