①【プロコン】うわっ…私の魔力、低すぎ…? 異世界魔神様、転生Vtuberとなって信者1000万人目指します!!
黄呼静
設定、プロット
〇参考作品。
「はたらく魔王さま!」、「ティレアの悩み事」、「ひきこまり吸血姫の悶々」等、異世界系、勘違いコメディ系作品。
主人公の出身である異世界は、ゲーム「Diablo」シリーズのような善と悪の戦い。
コンセプトとしては、とにかく壮大な背景物語を通して身近な物事に焦点を当てるような、ギャップ感のあるコメディ作品。
〇世界観。
本編中は、基本的には現実世界に準じる。
特に主人公の周りでは、YouTuber・Vtuberが流行り、そうした配信者のことが話題となっている。
異世界では、天使と魔族の対立から激しい戦争が起こっている設定。
天使側は【謙譲】【慈悲】【忍耐】【勤勉】【
魔界側は【傲慢】【憤怒】【嫉妬】【怠惰】【強欲】【暴食】【色欲】の七大悪の魔神たちが支配し、互いに戦い続けている。
天使と魔神たちは元は異世界を統治する十四人の
主人公である【強欲】の魔神ルシファーは、天使の加護を受けた人族の勇者たちに追いつめられ力の源であるバース・ストーンを砕いてしまったことで、現実世界へと転移した。
〇主要キャラクター
◆主人公1 【傲慢】の魔神ルシファー/吉見 優佳(ルシファーちゃん)。
女性。十四歳。魂は五億歳くらい。中学生。
異世界での事件によって、現実世界に迷い込んだ魔神。優佳に憑依している。
異世界での信仰を失ったことによる敗北や、その他、様々な事件により、SNSでのフォロワー数=信仰者の数であり、魔神である自らや異世界からの存在は、そのフォロワー数によって力を増すのだと思い込んでいる。
実際には現実世界でも比較的力は失っていないが、現実世界で初めて会った存在である姉・優美がさらに強力だったため、常人と変わらないか、すこし低い力しかないと勘違いしている。
魔神としての外見は、銀髪で赤い瞳。豊満な肉体の大人の女性。
現実世界では、吉見優佳の肉体へ憑依した状態。黒髪でひ弱そう、実年齢よりも少し幼い外見。
性格は傲慢で自信過剰だったが、肉体の性質に引っ張られやや自信を失っている。現実世界では臆病だが、配信上では強気。
また元の吉見優佳(本物)は、引っ込み思案な性格で姉にコンプレックスを持っていた。一巻の物語では裏設定となるが、元々自身でも別のVtuberとして活動しており、部屋にはお小遣いを貯めて揃えた配信機材が残っている。
*【七大魔神】ルシファーちゃんねる。
魔神ルシファーとしての力を取りもどすべく、ルシファー/優佳が、姉・優美とともに運営するyoutubeチャンネル。登録者数、twitterフォロワーは、物語進行とともに変動。
外見は魔界でのルシファーのイメージと、現在の優佳の外見を足して2で割った感じのキャラクター。
実況タグは【#るしちゃんねる】
ファンアートタグは【#ルシファー様の肖像】
始まり/終わりの挨拶は【ようこそ塵芥ども/栄光あれ!】
ファンネームは【ちりあくたー】
◇台詞イメージ。
『ハッハッハ! ようこそ、塵芥ども!!』
「あの力、あれが……登録者四千人の実力なのかっ!?」
「まさか、炎上……? 配信者としての力が、焼き尽くされたとでもいうのか!?」
◆主人公2 吉見 優美。
女性。十九歳。大学生/アルバイト。
主人公の肉体である、吉見優佳の姉。
ひきこもりだった妹が突如人格が変わり、おかしな言動を始めたことについて、Vtuber活動を目指してのロールプレイ(なりきり)だと思っている。
外見は、少し地味めの大学生といった感じ。
ショートの茶髪。自宅では眼鏡をかけている。
なぜか異世界からの何者かの加護を受けており、非常に高い肉体能力、魔法素質をもつが、まったく気がついていない。ただし加護により向上した能力で物語中は殆どなんでもこなすことができ、ルシファーのVtuber活動を大きく支えている。
元々は優秀ですこし厳しい姉だったが、妹がそのことにコンプレックスを持っており、自らのせいでひきこもりになってしまったのだと考えている。その反動から現在は妹・優佳に非常に甘く、過保護な性格となっている。
ルシファーちゃんねるのファンからは、【おねぇ】【姉P】などと呼ばれ、隠れファン(隠れてない)も多い。加護により器用さが上がったことで、ルシファーのVtuberとしてののアバターデザイン&制作をおこない、いわゆる”ママ”でもある。
◇台詞イメージ
「優佳のやりたいことなら、お姉ちゃん応援するよ!」
「やめてくださいっ! この子は未成年なんですよ!」
『<ルシファーちゃんねる@姉P>言っておくが、私はお前らの姉じゃねぇから!』
◆【傲魔四将】豪刃サイレス/田崎 義男(YOSHI)。
男性。二十六歳。魂の年齢は二万歳ほど。アルバイト/バンドマン。
傲魔四将と呼ばれる、魔界での魔神ルシファーの配下。
血気盛んな性格をしており、脳筋のバトルジャンキー。
赤い髪と黒炎竜のスケイルメイルに身を包み、巨大な大剣を振るう狂戦士だった。
現実世界では、同じく赤く染めた髪を逆立て、黒革のジャケット、ギターを背負う。
現実世界では田崎義男というアマチュアロックバンドのメンバーの肉体に憑依しているが、持ち前のノリと勢い、また田崎の元々の性格も幸いし、そのまま現実世界へと馴染んだ。
所属中のバンド、【S.H.out!】のyoutubeチャンネルは登録者240人ほど。
自身のtwitterアカウントのフォロー/フォロワー数は、30/360人ほど。
◇台詞イメージ。
「奴は傲魔四将のなかでも最弱! 人族の勇者に討たれるとは、我々魔族の面汚しめ!!」
「さあ、やろうぜゴミども! 俺様が、片付けてやるからよぉ!!」
「お前ら、ノッてるか!? イエェイェエエイ!」
◆【傲魔四将】計略のレミオレス/仁科 由美佳(ゆみか)。
女性。三十四歳。魂の年齢は四万歳ほど。会社員。
傲魔四将のひとり。静寂の/鮮血のレミオレスとも呼ばれていた。
スレンダーな体系で金糸で飾られた薄灰の絹の衣を着ており、魔力石板で情報分析を、戦闘では魔力の鞭を振っていた。現実での仁科の姿は、おなじく灰色のタイトなスーツに身を包むキャリアウーマン風。
ルシファーの配下の中では最古参。魔界では彼女の右腕となって、主に参謀役を務めていた。現実世界に転移してからは、仁科由美佳という会社員の女性に憑依。持ち前の分析能力で現状を把握、数日の混乱はあったものの、もとの会社での仕事を現在も続け、飛ばされた現実世界の情報収集を行っている。
youtubeでは活動していないが、twitterフォロー/フォロワーは、1500/2800ほど。どうやら元の仁科由美佳はコスプレを行っていたようで、現在は休止中だがその方面へも熱心に研究を行っている。
◇台詞イメージ。
「ルシファー様。報告によれば、奴らはゾーグ砦を落としたあと、幾匹かの枢軸徳の勇者たちの少数で、こちらに向かっているとのことです」
「ルシファー様。つかぬことをお伺いしますが、今週の予定表はもうコミュニティに上げられましたでしょうか……?」
『<ゆみか>配信お疲れ様です、ルシファーちゃん様! ( º∀º )/♪ 本日も素晴らしい雑談で、とっても癒されちゃいました|´▽`●)ノ |。 私も今日はお仕事でチョット嫌なことがあったんですけど、ンモォー!! o(*≧д≦)o″)) ちゃん様の配信をみていたら、私のほうでももっと頑張らなきゃって思えました! ∬≧ω≦):;*.’:; 明日の配信はすこし間に合わないかもしれませんが、(´・-・。)クスン ちゃん様のためにもまずは自分がしっかりすることが推し事だと思って頑張ります。 (*・ω・)ゞ⌒☆ これからも精いっぱい応援しますから、ルシファーちゃん様も頑張ってくださいね。ε=┏(*`>ω<)┛ジャァネ 』
◆【傲魔四将】逆心のバラキエル/竹中
男性。四十五歳。魂の年齢は三万歳ほど。SE(フリーランス)。
傲魔四将のひとり。堕天使。
獣面の武士で、己の羽根を鍛えた二振りの大太刀を振って戦っていた。現実世界での姿は、チェック柄のシャツにジーパン姿の典型的なオタク風。
現実世界では竹中というオタクのSEに憑依し、少々生活に混乱をきたしながらもこの世界での己の道を探究していく。現実世界の肉体との親和性が高かったようで、元の竹中の記憶を頼りに、ルシファーの配下の中でもIT方面へと強みを持っている。
自身のyoutubeチャンネルは趣味の活動を行っており、登録者40人ほど。twitterフォロー/フォロワーは、300/300ほど。
◇台詞イメージ。
「これは失礼でござった、ルシファー殿。クハハハ……」
「クハハ……すまんでござる。さあ、いざ尋常に――」
「デュフフ……こっ、これは失礼。拙者、少々その方面には明るい故、少しばかり、こっ興奮してしまったでござるよ……」
◆【傲魔四将】惨魔バルガス。
傲魔四将のひとり。最弱だったため、物語冒頭で死亡。
◆【強欲】の魔神マモン/マ~モちゃんねる@毎日配信やってます。
新進気鋭のyoutuber、マ~モ。
しかし、その正体は売れない芸人に憑りついた、【強欲】の魔神マモンであった。
マ~モちゃんねるはそのノリと勢いで、先に活動していたルシファーちゃんねるに対して、配信者ランキングの少し上へと駆け上がる。デビューから数週間ほど、特に派手なこともできず停滞していた【傲慢】のルシファーに対し【強欲】のマモンは、互いの正体を知らないながら、大きなプレッシャーを与える強敵となった。
やがて、このマ~モちゃんねるが近所で起こした事件の野次馬へ駆けつけたことによって、魔神ルシファー、魔神マモンとして互いに対峙することとなる。
事件時、youtubeチャンネル登録者4000人ほど。
twitterフォロー/フォロワー1300/1800人ほど。
◇台詞イメージ。
「どうも~! マ~モちゃんねるっで~す!! えー、それでですね……えー」
「えーっ、今日もね……えー、この通り配信をしていきましたけども。このマ~モちゃんねんるはですね。えー、毎日配信を行っており……」
「なあ! これが見たかったんだろ、お前ら!? 本当はこういう、派手なヤツを望んでたんだろ? だから俺様が叶えてやってんだ! そうだろう……お前たちが望んでたんだろぉ!!?」
〇物語構成。
大まかには前、中、後の三章構成。
・前編:ルシファーが戦いに敗れ、現実世界へ。姉・優美と出会いVtuberを始めるまで。二万~三万字ほどを予定。
・中編:いよいよVtuberとして配信を始めるが、思うように伸びない登録者数に焦り、姉・優美と喧嘩。飛び出した先で魔界の配下たちと再会し、モチベーションを取り戻すまで。五万~六万字ほど。
・後編:魔神マモンのおこした騒動と、その顛末。暴走した彼は一般人だと思っていた姉・優美にもまるで敵わず、チャンネルも炎上した。マモンの姿を見て、自身の配信者としての態度を改めるルシファーだった。二万~四万字ほど。
◆細かい区分と構成。
◇ 一章。
・1-1:異世界での出来事。三人称。
天界と魔界の戦争。魔界へ連れてきた人間たちを支配し、その畏れと信仰によって力をつけていた魔神ルシファーだったが、天使の加護を得て彼らを解放してしまった勇者に敗れる。バース・ストーンに力を望むが、石が砕けて次元が裂けてしまった。
・1-2:現実世界へ。ルシファー視点。
目が覚めると、現実世界の優佳の部屋で目覚める。状況の把握に努めるも、隣の部屋の姉・優美の寝言がうるさく、そちらの部屋へ。どうやら夢の中で天使と話しているようだが、その荒唐無稽さに単なる夢だと感じ警戒を解く。寝ている優美を起こし話をしようと近づくが、優美の寝相の悪さによって拳を受けて気絶してしまう。
・1-3:ルシファーの記憶。台詞のみ。
気絶している間に思い浮かぶルシファーの記憶(*)。善も悪もない神だったころ、彼女の姉妹とのやり取りの記憶。天界と魔界の戦い、ルシファーの人間への態度の説明部。
*もしくは、単なる語りとして各章の繋ぎに散らばらせるか、要検討。
・1-4:家族との邂逅。ルシファー視点。
姉・優美に揺さぶられ、気絶から目覚める。優美はルシファー/優佳が部屋から出たことを喜んでいるが、本人には理解できない。話の通じない優美を避け、リビングに向かうが、両親は忙しなく朝食をとっており優佳の姿に驚くものの、どこかそっけない。ルシファーとしてこの世界の事を聞こうとするも、あきれるばかりでうけあわなかった。
おくれて優美がやって来て、両親へ優佳の様子がおかしいことを説明するも、ルシファーは苛立ち優美を屈服させるつもりで拳を放つ。両親は目の前で姉を殴る優佳に驚くが、優美にはまるで効いていない。ルシファー自身も動揺し、少しづつ威力をあげていくも、じゃれているだけだと思われ拳を掴まれてしまった。落ち着いて二人で話をするという優美に連れられ部屋に戻るが、「姉に迷惑をかけるな」と放たれた両親の言葉に、なぜかルシファーは胸に痛みを覚える。
・1-5:優美との会話。ルシファー視点。
優佳の部屋に一緒に入ると、優美はまず頭を下げ、これまでの姉妹の関係を詫びる。いろいろと説明をされるのだが、ルシファーは先ほどの混乱から覚めず、別のことを考えている。しかし次第に話をすり合わせているうちに、どうやら姉・優美は彼女がVtuberをしたがっていると思っていることに気が付き、しかもそれを行うと信者が増えていくらしい。ルシファーはこれなら、魔界へ戻る手立てになるかもしれないと、優美の勘違いにのることにした。
◇ 二章。
2-1:Vtuberの準備。ルシファー視点。
いよいよVtuberの準備を始めるルシファーたち。まずは彼女たちの家にあるものでどれだけのものがあるかを確認していくと、驚くことに優佳の部屋には一式のそれが揃っていた。さらに突然頭が冴えて器用になったという優美によって、とんとん拍子に準備は進み、いよいよデビューを迎えることになる。
2-2:デビュー。ルシファー視点。
いよいよデビュー配信を迎え、配信画面を前にあれこれと考える。初めに聞いていた他のVtuberの同時接続数に比べ、待機での人数は明らかに少ないが、それでも大したものだと姉・優美は励ます。
配信が始まり初配信では、挨拶、自己紹介、様々なタグ決めなどを行っていく。チャットがちらほら流れるなか、あらかじめ決まった台本を読むだけだが、ルシファー自身はなぜか緊張し、そしてそれがおわると、自分がものすごく興奮していたことに気が付く。この充実感が、もしや自分の力になっている証ではないかと、強い期待を覚えるのだった。
2ー3:エゴサ。ルシファー視点。
配信がおわり姉・優美にねぎらわれ、そのままその日は寝てしまおうというルシファーだったが、なぜかおずおずとお風呂に入らないかと提案される。人間風情の家で湯あみができるのかと驚くルシファーだが、なんでお風呂の事を忘れているのかと、優美のほうでも驚かれる。
湯あみは召使に身体を洗わせるものだと考えるルシファーは当然に優美をさそい、優美はまあ妹とお風呂も悪くないと、それに同意する。身体を洗い終わって、狭いながら湯船に入ると、優美はスマホを取り出して、先ほど決めたハッシュタグを検索して見せる。そこにはまだルシファーには理解できない書き込みも多かったが、それでもこの世界との繋がりを感じ、じんわりと胸が温かくなるのを感じた。
2-4:スランプ。ルシファー視点。
その日もまた雑談配信を行っていたが、この世界の娯楽などもあまり知らないルシファーにはこれといった特色はなく、あまり面白い話もできなかった。やがて配信がおわり、エゴサをしてみるも彼女に関するツイートは乏しく、中にはつまらないという中傷のようなものも見つけてしまう。自分はこれでいいのか、本当にこんなことをして自分の力を取り戻せるのか、疑問に持つ。
2-5:ほかの配信、動画に興味を持つ。ルシファー視点。
ふと自分以外のVtuberはどんなものなのかと他のチャンネルの動画を見ていると、本当に様々なことをしているのだと気が付くが、同時に自分の数字があまりとれていないとも感じ始める。さらには配信者ランキングなるものの存在を知り、最近出来たばかりのマ~モちゃんねるチャンネルが、自分より数字を伸ばしていることに焦りを感じる。
2-6:怒り、姉との喧嘩。ルシファー視点。
自分もやってみようと息巻いたゲーム実況で、はじめは良かったものの、その途中ですぐに詰まってしまった。それでも「頑張れ」と応援してくれるファンについに怒りはじめ、配信を途中で投げ出してしまう。配信画面を管理している姉・優美がルシファーを咎めるものの、彼女は逃げるように家を飛び出してしまった。
2-7:優美の反省。優美視点。
逃げ出してしまったルシファーの配信にて、優美がチャットで謝罪を行うも、視聴者は収まらない。姉・優美にこうして謝罪をさせていることも含め、ルシファーの自分勝手な行動に憤っているものは多かった。意を決した優美はマイクを取り、視聴者に自らのことを打ち明ける。
かつて自分は、優佳にとってとてもいい姉とは言えなかった。優美と比べ優秀とは言えなかった妹のことを、疎ましく感じていたこともあった。五つほども年の離れた優佳に対し大人げないことでなんども𠮟りつけ、彼女の自信を失わせてしまったことを述べる。
もしも謝罪を受け入れてくれるのなら、このままルシファーちゃんねるを応援し続けてほしいと締めくくって配信を閉じ、出ていったルシファー/優佳を追いかけた。配信の終了した動画にはもうあまり人は残っていなかったが、温かいチャットもいくつか投げられ続けていた。
・2-8:ルシファー外の世界を知る。ルシファー視点。
一方、勢いよく飛びだしたルシファーは、まだ自身に残っている魔力を感じ飛行魔法を試みる。当然、彼女の力は衰えておらず、自由に飛び上がり、この世界の夜景を堪能することができた。魔界時代の仲間に波長を合わせて思念を飛ばし、視界の中でも最も高いビルの屋上へ飛んで、反応を待った。
2-9:再開と決意。ルシファー視点。
しばらく彼女が待っていると、サイレス、レミオレス、バラキエルたちがあらわれ、一同は再会を喜ぶ。しかし、ルシファーが彼らの現状を尋ねると、彼らはそれほど力を失っておらず、ルシファーは内心動揺する。それとなく彼らの行っているSNS等の情報を聞き出し、彼らのフォロワー数に驚くも、内心では自らの仮説を納得する。
ルシファーはこの世界での自分たちは、どうやらSNSの影響力によって力を得ることができるという仮説を披露。その反応はまちまちだったが、サイレスがバンド活動で感じた熱量を語って聞かせると、なんとなくそうなのかもしれないという雰囲気で落ち着く。ルシファーは今はyoutubeで配信していることを明かすが、バラキエルは既に目をつけているようだった。
すると突然、その屋上に優美があらわれ、彼らの存在を怪しむ。ルシファーは彼らは自分の仲間だと弁解するも、優美はSNSで簡単に相手を信用してはいけないとしかりつける。ルシファーは去り際に今は登録者1000万を目指すと啖呵を切って、帰っていった。
2-10:謝罪配信。ルシファー視点。
ルシファーは後日、改めて配信をおこない、先日の配信のことを詫びる。twitterのエゴサーチではかなり辛辣な意見があったことに内心では怖がっており、戦々恐々としている。しかし、配信を始めると非常に温かく迎えられ、ルシファーは改めて登録者数を目指す決意を口にした。
◇ 三章。
3-1:事件のはじまり。ルシファー視点。
その日も相変わらず雑談配信を終え、寝床に入るルシファー。相変わらず登録者の伸びはいまいちで、まだ少し悶々としたものを抱えている。ついつい姉・優美に決められた深夜のエゴサの禁をおかし、スマホを手に取ってtwitterアプリを起動する。
しかし、なんと地方のトレンドにどこかで見たことのあるチャンネルの名前で、何かの騒動が起こっているという話題が上がっていた。なにかすごい事が起きていると感じたルシファーは、おもわず飛んで行ってしまう。
3-2:ゲリラ配信。ルシファー視点。
騒動の報じられた場所にやってくると、すでに人だかりができていて、その中心には以前見かけたマ~モちゃんねるのチャンネル主が、宙に浮いて派手な魔法を打ち上げていた。周囲にはルシファーと同じような野次馬や警察がおり、マ~モちゃんねるの撮影班と思われる人たちが、結界に守られてカメラやパソコンを操作していた。
警察はすぐさま騒動を止め撮影を止めるよう呼びかけるが、その結界に触れようとすると、弾き飛ばされて気を失ってしまう。マ~モちゃんねるは既に登録者が四千人に達しており、それほどになればこちらの世界でもあれほどの力が使えるのかと、驚くルシファー。
しかししばらく見ていると、マ~モの様子はおかしかった。声は上ずり、仕切りに群集に呼びかけて、人目を意識してばかりいる。あれほどの力があれば人間などなんでもないはずだというのに、人前で緊張しているようにも感じた。そればかりか周囲の人々の反応も思ったよりは冷静で、彼の姿を驚きはすれど、何か見世物のようにしか見ていないのだと気づく。
やがて自身の心も次第に冷めていくことを感じるルシファーだったが、マ~モはそんなルシファーが同じ異世界からきた存在であることに感づき、火球を投げた。ルシファーは不意打ちだったそれをまともに受けるが、なぜかそれほど威力はなかった。
たんなる威嚇なのか混乱していると、マ~モは自分が魔神マモンである事をあかし、話しかけてくる。ルシファーも名乗ろうとするのだが、この子供のような格好でいることが、彼女に名乗ることを躊躇させた。しかし、続けてマモンの放った”お子ちゃま”とう言葉に激怒して、ルシファーは魔力を解放した。
3-3:事件。優美視点。
なんとなく優佳のことが気になって、彼女の部屋を訪れる優美。しかしそこはもぬけの殻で、窓は開きっぱなしだった。いやな予感がしてリビングへ行くと、母が見ている地方のニュースで、何かの騒動とその場で起きた爆発事件について報じていた。
テレビでは人が宙に浮いており、手からは勢いよく火を出している。よくできたフェイク映像だと感心するが、妙に人々の反応が生々しい。そして宙に浮いた人が呼びかけて、群集の中の一人の少女に火を放った。少女は無事だったが、男の放った言葉に怒り、直後爆発のような衝撃波が飛んで周囲のガラスが割れる。衝撃でブレたカメラ画面が再び戻ると、少女も男もいなくなっていた。
優美はその少女が妹の優佳ではないかと直感し、家を飛び出て捜索へ向かった。
3-4:マモンとの対峙。 ルシファー視点。
またもや丁度いいビルの屋上に降り立ち、マモンと話し合うルシファー。マモンはこの現実世界で影響力をひろげ、元の世界での天界と戦うための戦力を補うつもりだという。
ルシファーとしてはその作戦には同意であり、自分でもそれを目指すべきだと考えるが、どうにも目の前のマモンは危ういとも感じていた。ルシファーは彼が肉体の持っていた感情に振り回されていることを指摘し、もっといい案を考えるよう促すが、マモンは腹を立てるだけだった。
するとそこに、ルシファー/優佳の姉・優美が到着。ルシファーを叱って、はやくこの男から逃げるよううながす。
3-5:マモンの敗北。ルシファー視点。
優美がルシファーを連れ帰ろうとすると、マモンはさらに逆上し、彼女達へ魔法を放つ。ルシファーも優美もおもわず怯むが、べつにさほどの威力はなかった。驚くルシファーだが、優美はこれが最新のホログラム機器を使った手品だと思い込み、あきれてマモンに説教を始める。
こんな派手なことばかりをして衆目を引いても、結局は一時話題に上るだけで、本当の人気は得られない。しかも、妹・優佳のような未成年を騙してその仲間にしようなんて、言語道断である。マモンは言い訳を繰り返しまた魔法を放つが、優美には全く効かなかった。
一方でルシファーも、優美の説明には少し違和感をおぼえる。
もしやと思ってスマホでマ~モちゃんねるを検索すると、案の定、炎上していた。以前に優美から聞かされた”炎上”という現象の恐ろしさを認識し、自分たち魔神はそれにより力が奪われるのかと戦慄した。
やがてマモンは魔力もつき、優美を突き飛ばして逃げようとするも、逆に押し返されて情けない姿をさらす。優美はもう迷惑な配信は止め、優佳に近づかないように念を押し、彼女たちは帰った。
3-6:終わり。ルシファー視点。
ルシファーちゃんねる定期雑談配信。あれからルシファーは幾分か丸くなり、真面目に配信をこなしていた。チャットではいろいろ言われているものの、全体として肯定的なものが多く、徐々に人気も上がりつつあった。
今後の活動やいろいろな目標を語り、配信は終了。ルシファーは配信後のエゴサを始めるが、twitterのトレンドには「#色欲魔神ASMR」の文字が。
その妖しげな文字に釣られ、ルシファーは思わず手を伸ばす……。
第一巻、おわり。
◇続巻への展望。
二巻以降では現実へ続々侵入している魔神と、人間へ加護を与えて干渉しようとする天使との戦いを背景に、配信界隈のいざこざを書いていく予定。
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