空の青さを知らぬ侍は澄んだ雲の白さも知らない
アチャレッド
空の章
壱話「何色だろう」
時は明治元年。『 』はこの日この世に生を成した。
だが名前はまだない。貰ってない。
産まれた時に父から貰った最初のプレゼントは真剣、刀だった。
父は言った。「お前は俺の望みを叶える俺の刀だ。」
『 』は産まれて間もないながらもその言葉が身体に染み付いた。
そして今日は『 』が生まれてから十年が経った年だ。
毎日刀を握って人を殺す訓練。
去年初めて人を斬った。
父に言われるまま父にとって邪魔な相手を斬った。
だが感じる心は育ってない。
時間をかけて育てられたのは人を殺す技術のみ。
だがその日は一つだけいつもと違った。
いつもは人を斬る夜以外開いていない扉が開いていた。
『 』は自分で何かをしようと思ったことはない。
だがその日初めて『 』は外へ出た。
意味はない。理由もない。
ただ何となくそうしただけだ。
初めて見た外の世界には見たことのない【 】が広がっていた。
しかし『 』はその呼び名を知らない。
『 』は取り敢えず少し歩いた所で座った。
幼い子供が体格に似合わない刀を帯刀しているのが人目を集めた。
しかし誰かが声をかける訳では無い。
廃刀令の出たこの時代に刀を持つ子供などに話しかける者はいない。
しかし『 』は他の人間と話すという発想も視線を気にするという事もない。
『 』はただボーッと座っていた。
こういう日が数日と続いた。
ただ外に出て『 』は何をするでもなくボーッと座るだけ。
数日経ったある日。
この日だけいつもと違った。
「ねぇ。あなたいつもここに座ってるけど一体何をしてるの?」
一人の少女が彼に話しかけた。
少女の名は
『 』の人生に大きな影響を与える事となる。
この日が『 』にとって最初の分岐点となった。
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