【二人用台本】運の良し悪しと遅延

しんえん君

運の良し悪しと遅延(0:1:1)

【諸注意等】


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アドリブ、細部の改変、性別の変更などは可能です。


【本作の読み方】


・「」外は状況の説明ですので読まなくて結構です。演技のプランニングやSE等の参考にお使い下さい。





役表


先輩 女性:

後輩 不問:



【登場人物】


先輩 女性

後輩の先輩。些細ささいな事に幸せを感じている。後輩と話すのは楽しい。


後輩 不問

先輩の後輩。先輩が幸せそうだからいいのかな?

ちょっと心配である。




【台本本文】



駅のホーム。

二人は帰りの電車を待っている。



先輩「最近さ、ラッキーな事ばかり起こるんだよね。」


後輩「え、例えばどんなことですか?」


先輩「例えば、そうだな。今朝。」


後輩「今朝?」


先輩「うん。家を出てちょっとしたら雨が降り出したんだけど、折りたたみ傘を持ってたから濡れずにすんだ。」


後輩「それは先輩がちゃんと雨に備えていたから必然じゃないですか。」


先輩「そうかな。」


後輩「そうですよ。ラッキーとは言わないと思います。」


先輩「うーん、あとはね。最近、ボディーソープを変えたんだけど。」


後輩「はい。」


先輩「すごい泡立つ。」


後輩「良かったじゃないですか。」


先輩「こんなに滑らかな泡で身体を洗っていいのかって思うくらい。」


後輩「その為の泡なので存分に使ってあげてください。」


先輩「申し訳なくなってくるのよね。」


後輩「なんでですか?」


先輩「迷惑かけてるなって。」


後輩「何にですか?」


先輩「地球環境に。」


後輩「そんな事言ってたら何も出来ないですよ。それに、滑らかな泡でも滑らかじゃない泡でも、同じ量なら全く問題ないじゃないですか。」


先輩「いや、なんか。もっと少なくても足りるなって思って。いつもワンプッシュ使うんだけど、ボディーソープ変えてから半プッシュにしてる。」


後輩「それで満足に泡立つんですか?」


先輩「微妙かな。」


後輩「そのボディーソープを作った企業努力を汲んで、ちゃんと使ってあげてくださいよ。」


先輩「あー。そうだね。その発想ね、必要よね。」


後輩「そうですよ。てか、この話何がラッキーなんですか?」


先輩「うーん。その時はラッキーだなって思うんだけど、全部論破されちゃうな。」


後輩「ええ、他にないんですか?」


先輩「うーん。最近、アラームの音を変えたから寝坊しない。」


後輩「それラッキーじゃなくて、アラーム音を変えたからじゃないですか。」


先輩「嬉しかったよ?」


後輩「いやいや、ラッキーって幸運って意味ですから。」


先輩「そっか。じゃあ違うのかしら。」


後輩「違いますね。」


先輩「じゃあ逆に、貴方は最近ラッキーな事あった?」


後輩「え、唐突とうとつですね。」


先輩「さぁ、ラッキーとはどういうものなのか教えていただこうかしら?」


後輩「えぇ?うーーん。」


先輩「なんにも無し?」


後輩「あ、最近飼い猫が甘えて来ます。」


先輩「それって猫に好かれてるからじゃないの?」


後輩「いや、今まで以上に寄ってくるんです。」


先輩「それってラッキーなの?」


後輩「猫は此方こっちの意思じゃどうにもなりませんからね。ラッキーですよ。」


先輩「そっか、猫はラッキーか。」


後輩「猫はラッキーです。」


先輩「あ、でもほら、さっき話した雨の話。天気だって、意思じゃどうにもならないわよ?」


後輩「いや、家から出て降られてるって言ってましたよね?むしろアンラッキーでは?」


先輩「あぁ。え、じゃあ私ってアンラッキーなの?」


後輩「その時はアンラッキーだったんじゃないでしょうか。」


先輩「今は?」


後輩「え?いや、何も起きてないから分からないですけど。」


先輩「何か起きればいいのね。」


後輩「何かって、なんでもいいわけじゃないですけどね。」


先輩「あ、電車五分遅れてるって。」


後輩「本当だ。じゃあ、今の先輩はアンラッキーですかね。」


先輩「いや、でも貴方も今一緒にいるし。」


後輩「えー。」


先輩「ラッキーな人とラッキーな人が居たら超ラッキーになるのかな?」


後輩「突然何を言い出すんですか?その理論はよく解らないです。」


先輩「アンラッキーとアンラッキーは超アンラッキー?それとも相殺そうさいしてラッキーになる?」


後輩「アンラッキーって相殺そうさいするんですか?」


先輩「わからない。」


後輩「先輩が言い出したんじゃないですか。」


先輩「でもほら、電車が遅延しちゃったけど結構楽しく時間を潰せたし。ラッキー?」


後輩「先輩疲れてないんですか?」


先輩「疲れてるけど、五分位いいじゃない。楽しくなかった?」


後輩「楽しかったですけど、ラッキーとは思いませんね。」


先輩「ケチだなー。」


後輩「別に平日ならいつでも会えるじゃないですか。」


先輩「まぁ、そうなんだけどね。」



 間



後輩「先輩ほら、電車来ますよ。」


先輩「え?貴方も乗るでしょ?」


後輩「今日はめいっ子の面倒を見に、弟の家に行かなきゃ行けないので。逆の電車に乗ります。」


先輩「じゃあ、さっき発車したやつに乗らなきゃいけなかったじゃない。」


後輩「まぁ、次のでも行けますから。」


先輩「あ、私の相手する為に乗る時間、ずらしてくれたの?」


後輩「いや。単純にいつもの癖でこっちのホームに来ちゃっただけですよ。」


先輩「本当かな?」


後輩「本当です。」


先輩「あはは、いい後輩を持ててラッキーだな。」


後輩「それは、先輩の普段の行いがいいからですよ。」









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