第2話縁切寺

 これから、いい恋できますように。って願っていた。

 これから、変われると思っていた。

 元カレに関するすべてのものを捨てたり消したりしたから。


 それでもまだまだ夢に出てくる。

 不快で、悲しくて悔しくて。でも彼とは生き方が違う。

 戻ってもまた私が苦しいだけ。


 気分を切り替えよう。

 いい男を見つけるのだ。

 失恋の旅ということでリュックを用意し、必要そうなものをつめていく。

 お賽銭用のお金と寺院に寄付のためのお金を用意する。

 日帰りだからそんなに必要なものはないものの、できるだけきれいなアイテムを用意していく。

 

 きちんとしたところだと各種お祓いとかしてもらえるのかもしれない。

 しかし、きちんとしたところだと五千円から一万円までかかるらしい。

「安いところから始めよう」

 ということで、縁切寺に来ている。

 近隣では有名な縁切寺。

 ここで何とか彼との縁を清算して夢に出てこなくなってくれれば、

 新しく恋を探せるはずだ。

「縁を切って、縁を結ぶ」

 ここで縁を切って、縁結びで有名な場所に行こうと思う。

「別れてからも忙しいわ」

 スマホで道を調べながらぼそりとつぶやいた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る