銀河通信
もしもし。聴こえますか。こちらは第三惑星地球。宇宙に向けて発信しています。
地球はいよいよダメになってしまいました。大きな国同士が戦争をして、使ってはいけない兵器を使ったのがぼくの生まれた頃の話。ぼくたちは今、各地のシェルターで暮らしています。うんと昔に宇宙飛行士が「地球は青かった」って言ってたって授業で習ったけど、ぼくには今の地球も青く見えているのか分かりません。どうですか。宇宙から見た地球は今も青くて綺麗な星ですか。
戦争が起こった原因は、まだ12歳のぼくには難しくてよく分かりません。使ってはいけない兵器を使った理由はもっとよく分かりません。でも、ぼくだって時には友達とケンカをします。取っ組み合いの大ゲンカをして、二週間絶交したこともありました。ぼくだってそうなのだから、国同士が大ゲンカをすることだってあると思うのです。それは仕方のないことなのかもしれません。
だけど、ぼくたちは仲良くすることだってできます。どんな人にでも、優しいところや、弱いところや、すごいところがあって、それを大切に思う心があります。誰かを大切にできるのは、人間に備わった素晴らしい機能だと、ぼくは思っています。このシェルターでも色んな人が協力して、知恵を出し合って暮らしています。ぼくは皆が大好きです。
残念なことに、戦争はまだ終わっていません。これを聴いた君はガッカリしたかもしれません。やっぱり人間はろくでもないやつだなと思ったかもしれません。でも、どうか見放さないでください。ぼくが大人になる頃、この星がどうなっているか分からないし、もしかしたらぼくは大人になる前に死んでしまうかもしれないけど。けど、もし大人になれたら、ぼくは宇宙に行くつもりです。
ロケットに乗って、宇宙に行って。
そして君と友達になりたい。
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