トランスレイト・ショー

そうざ

The Translate Show

御曹司「よく来てくれたね」

通 訳『よっしゃ、まんまとやって来たよ、こりゃ脈アリだぞっ』


メイド「お坊ちゃま、こんな夜分に何のご用でしょうか」

通 訳『思いっきり勤務時間外労働じゃん、ねみーんだよ、ったく』


御曹司「君は赤い糸の伝説を信じるかい」

通 訳『めんどっちぃけど、いつものパターンで始めるか』


メイド「赤い糸……出来れば信じたいと思います」

通 訳『ナニ時代だよ、キモイんだよ。自意識過剰星人がっ』


御曹司「初めて君を見た時、僕は天使が舞い降りたのかと錯覚してしまった」

通 訳『お前が面接に来た時、お~っ、イケてんじゃん、巨乳系だし、めっちゃタイプって思ったぜ』


メイド「そんな……おたわむれを」

通 訳『あん時、めちゃくちゃ私を見てたんだよね。つーか、ほぼ胸ばっか見てたし。確かにそこらの女より確実に上だけどさ』


御曹司「僕の瞳を見てくれ。何が見える?」

通 訳『俺が何を言いたいのか分かんだろぉ? 即オッケーで良いじゃんか』


メイド「……仰っている意味が分かりねますが」

通 訳『私、バカなんで分っかりませ~んっ、分かりたくもないです~』


御曹司「では、はっきり言おう。冷え切った僕の心には君という温もりが必要なんだ」

通 訳『とにかく一回ヤろうぜっ、減るもんじゃねぇんだからっ』


メイド「お坊ちゃま、おたわむれが過ぎます……」

通 訳『はぁ?! いきなりヤらせろ宣言かよっ』


御曹司「人は大いなる時の流れに翻弄されるだけの非力な存在かも知れない……しかし、君と僕は出逢った。これを運命と言わずして何と言おうかっ」

通 訳『俺、回りくどいの苦手なんで、手っ取り早く行こうぜ』


メイド「私は……私は卑しき貧民の娘に過ぎません」

通 訳『でもやっぱ貧乏はイヤだな~、手っ取り早くタマのコシに乗りたいな~』


御曹司「愛があれば、どんな壁だって乗り越えられるさ」

通 訳『分かった、分かった、金な。幾らでもやるって、相場の範囲で』


メイド 「私は何の価値もない女です」

通 訳『安っぽい女だと思われたくないしな~、吹っかけないとな~』


御曹司 「自分をさげすむのはたまえ」

通 訳『もったいぶってんじゃねーぞ、こらっ』


メイド「お坊ちゃまに相応しい女性は他に居らっしゃいます」

通 訳『ヤるだけヤってポイ捨てなら、他のバカ女がお似合いだっての』


御曹司「僕は誓う。僕は柔らかな風となって、永遠に君の窓辺にそよぎ続ける事を」

通 訳『金なら毎月たんまりくれてやるって、マジで』


メイド「でも、お坊ちゃまは金成財閥のお嬢様とのご縁談が進んでいらっしゃるという噂が……」

通 訳『先方にバレたらヤバくね? とばっちりだけはマジゴメンなんだけど』


御曹司「親同士が勝手に進めている話だ。僕は全く興味がない」

通 訳『相手の女にはビビったわ。マジで無理っ、ブサイクにも程があるわ』


メイド「私には年老いた両親や兄弟達が居ります」

通 訳『どうせなら、家族もまとめて面倒みて欲しいな~』


御曹司「僕は賑やかなのが大好きさ」

通 訳『しゃーねぇなぁ、まとめて下働きにしてやんよ』


メイド「本当に……本当に信じて宜しいのですね?」

通 訳『裏切ったら速攻ウチらの関係を暴露すっから。ネットに証拠画像を流すんでヨロシク』


御曹司「風の日には柔らかな毛皮となって君を暖めよう。星降る夜にはその輝きを宝石にして君を飾ろう」

通 訳『ブランド品でも貴金属でも好きなだけ買ってやるってばよ』


メイド「実は……私もかねてよりお坊ちゃまの事をお慕い申し上げておりました」

通 訳『契約成立って事で。そんじゃ、今日は眠いんでもう帰るわ』


御曹司「さぁ、飛び込んでおいで、僕の胸の中へ……」

通 訳『さっさとヤりてぇんだよ。取り敢えずしゃぶってくれよぉ』


メイド「ああ、お坊ちゃま、おたわむれを……」

通 訳『取り敢えずシャワーくらいは浴びて来いよな。マジで臭いんだよ。て言うか、何回オタワムレって言わすんだよ』

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