運命のサボテン
紫花 陽
第1話 君へ
人は、罪を犯す。
その罪は小さなものかもしれないし、大きなものとして他人を傷つけ命を奪うこともある。罪というのは重い。
そして、人は犯した罪を心の奥底にしまい込み、まるで善人のように仮面をつけては自分を正しき人間へと育てていく。もしくは、堂々と悪人の面構えを剥き出しにし、悪しき人間として他人の人生を蝕んでいく。
罪というのは、犯している本人は気づいていない。もしくは気づいていないフリをしている。それが正しいと思い、行動して自分勝手にやり遂げる。満足し、優越感や罪悪感に浸りながら、その報いを受けるのを待ち続ける。
僕もそうだった。
いつか自分の身にも、災いが降り掛かってくるのではないかと怯えながらこれまで生きてきた。
若気の至りとは恐ろしいもので、その場とノリと判断で何でも出来てしまう。とは言っても、僕が罪を犯してしまったのは大学の頃、若気の至りなんて言葉があまり通じなくなってきた時期だった。
勉強ばかりに明け暮れて、全くと言っていいほど青春を送ることのなかった僕に、初めて大学の友達が出来たんだ。とても愉快な人だったよ。
こんなつまらない性格になったのは、そいつのせいなのかもな。愉快な友達が隣にいるから、僕はそいつの行動を止める役、危なっかしいからこそダメなものはダメと言わざるを得なかった。まあ、当たり前のことなんだけど。
ちょっと余計なことばかり書きすぎた気がする。あくまでポエムのようなものだと微笑み、小馬鹿にでもして欲しい。少しでも君に僕の考えを読んでほしかっただけなんだ、って言い訳をしたいけど、それほど僕のことは書いていなかったね。
文の始まりなんて、どう書いていいか全く分からないまま書き始めたおかげで、こんなにもどうでもいい内容ばかりをつらつらと書いてしまったよ。
このボールペンのせいかもしれないな。
滑らかに書けるのは良いけど、余計なことも滑らかに書けるようじゃ僕のことをすべて書き残せる気がしないよ。
そろそろいい加減に本題に入るとするよ。こうして、書き残しているのは単純に僕の勇気がないせいなんだ。勇気がないからこそ口ではなく、紙に想いを乗せて伝えようと思う。
まるで学園恋愛モノみたいな言い回しだけど、僕のこれは全く違うものだから期待せずに読んで欲しい。書き残すに至った経緯と、それまでに何があったのかを全部ここに残します。
一枚に収まらないから、収めるつもりもないから一冊の本を読んでいる気分で読んでもらえると嬉しいかな。
さてと、ここまで引っ張った女々しい僕の話を読んでほしい。
これは善人の仮面をつけた僕、
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