第71話 領民にしてシゴいてやろう


 リッキーが作成してくれた報告書には女王のダンカン塔幽閉に関わった市民団体らの名簿があった。


 ヤツらは幹部のほとんどが城に捕らえられて事実上解散状態であったけれど、生き残りは在野にて赤貧の市民生活を送っているのである。


 俺はそのひとりひとりを尋ねて、女魔王や勇者のことを知る者はないか調べていったってワケ。


「か、勘弁してください! オレはもう足を洗ったんです!」


 しかし、なかなか二人の情報を得ることはできない。


 まあ、城に捕まっていないということは必然的に下っ端ってことだもんな。


「チッ、そう簡単にはいかないか」


 そうため息をつく日々であったが、ただし収穫がゼロというワケでもなかった。


「あ、てめえは!」


 ある日、リストにあった『クオート』という男がフラフラしているらしき街路地裏へ行ってみた時。


 そこにはダンカン塔の階段でやたらとタフだった革ジャンがいたのである。


「オマエは……」


「この間はよくもやりやがったな! これでも喰らえ!!」


 ヤツは俺の顔をみるなりにサングラスを外し、拳をまっすぐに振ってきやがった。


 なんて狂犬っぷり。


 他のヤツらはもう勘弁してくれってばっかだったのに。


「クソ、またちょこまかと……!」


 まあ、俺に勝てるワケはないんだけどな。


 クオートはあいかわらずのタフさで何十発も俺の拳をくらったが、とうとう大の字に倒れた。


「ち、ちくしょう……強ええ」


「……オマエさ。なんで事変になんかに加わってたワケ?」


「あ?」


「ああいう市民活動の思想イデオロギーを一生懸命理解するようには見えないけど」


「別に……退屈だったからな。先輩から『思いっきり暴れられる』って誘われて行ったんだよ」


 気づけば雨が降っていて彼の若い頬をひたひたと濡らしている。


 リッキーのリストによればなんとコイツまだ15才らしいんだけど、こうして見るとたしかにあどけなさを残した少年であった。


「暴れられるのなら何だっていいのか」


「ああ。なんだっていい。オレにはオヤジもおふくろもいねえ。この街でからっぽで透明で……思いっきり暴れて、いつか死んで、それでいいんだよ」


「そっか……」


 俺はため息をついて続けた。


「まあ悪くない生き様じゃん。でもさ……どうせ暴れるんなら暴れ甲斐がいのあるところで暴れたいって思わね?」


「暴れ甲斐がい?」


「そうさ。あんな大人たちが用意した改革のために暴れてやってもしゃくだろ。それよりオマエ、俺んとこ来いよ。俺の下で本物の戦争で暴れまくって、そして英雄になるんだ」


「英雄に……て、てめえ、一体何者……」


 そう言って、クオードは気を失った。


「……リッキー」


 俺が呼ぶと、狭い路地裏のビルの上から忍者が降ってくる。


「はッ」


「お前、コイツを連れて先にダダリに帰っててくれよ。領民にしてシゴいてやろう」


「かしこまりでやんす。若は?」


「俺も明日には帰るよ。ライオネ伯爵が地元へ引き返すみたいだからな」


「いよいよ戦争でやんすね」


「……うん」


 そう答えるとリッキーはクオートを抱え、裏路地を去って行った。



 ◇



 母娘おやこの家に帰ると誰もいなかった。


 少し雨に濡れたので手拭で頭を拭いていると、娘の方が帰ってくる。


「ただいま」


 セーラー服の肩もちょっぴり雨に濡れていた。


「おかえり。遅かったな」


「うん、生徒会だったの。お母さんは?」


「わからない。帰った時にはいなかったよ」


「そう」


 娘は返事しながら濃紺のプリーツスカートの骨盤部分にあたるホックを外し、かすかな鈍い音を立ててジッパーを下げる。


 ……ストン


 スカートが落ちると、白いセーラー服の裾から14才の少女の尻がぷりっと顔を出して張りのある肉付きに白いパンティの縫い目をくっきりとさせていた。


 もう元気な赤ちゃん産めそうだな。


「ただいま」


 そうこうしていると母の方も帰って来た。


 どうやら買い物をしていたらしく、ずいぶんな量を抱えている。


「お腹すいたでしょう? あなたも手伝いなさい」


 母がそう言うので娘も「はーい」と答え、着替えが済むと台所へ行ってしまった。


 いつも夕飯の準備の時は娘の方が話相手になってくれていたから手持無沙汰だなあと思って待っていると、何やら今日は豪勢で、次々とご馳走が運ばれてくるものだから驚く。


「どーしたの、これ」


「坊や、明日から戦争へいくのでしょう?」


「えっ……あ、うん。そーだけど」


「私たちのできることと言えばこれくらいだもの」


「がんばってね!」


 母娘おやこ鼓舞こぶがあまりやさしいので軽く胸が熱くなる。


 俺は遠慮なくご馳走をいただくことにした。


 ……夜。


 俺が先にベッドへ入ると、母は何と命ずるまでもなく服を脱ぎ、娘もそれに倣って下着姿になった。


 母の方は上品なベージュのスリップと太ももから覗く大人っぽいガーター・ベルト。


 娘の方はリボンのついた白いパンティと発育したDカップの乳房がジュニア・ブラにぱつんぱつんに納まっている。


「おいで」


「「……はい」」


 次にいつ会えるともわからないので、俺は今夜二人とも妊娠させる気でかかった。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る