第2話 転生領主
オヤジの死後、俺はすぐに跡を継いでダダリの領主になった。
すると、思ったとおり領主レベルが0から1になっている。
俺の個人ステータスもこう変化した。
―――――――――
領主レベル:1
称号:転生領主
HP:7
MP:0
ちから:4
まもり:2
魔法:――
特殊技能:ステータス見
授与可能ジョブ:農民、商人、クラフター、薬師、狩人
―――――――――
注目点は一番下の欄だ。
以前は空欄だった『授与可能ジョブ』に、5つのジョブが追加されている。
農民、商人、クラフター、薬師、狩人……
これでステータスのとおり領民へジョブを付与できればいいのだけれど。
「おふくろ。ちょっと出かけてくるよ」
「そうかい……」
ところで、オヤジの葬儀が終わってからと言うもの、おふくろはめっきり元気をなくしてしまっていた。
「ちゃんと食わねえとダメだぜ?」
「……うん」
返事だけはするが、やはり物思いに耽ることが多いおふくろ。
……俺が立派な領主になればちょっとは元気を出してくれるかな。
そんなふうに心でつぶやくと、俺は
さて、外へ出るとうららかな日差し。
その向こうでは弟たちが庭で遊んでいる。
ちょうどいい。
「おーい! ヨル、ラム。ちょっといいか?」
「はーい!」
「なに? 兄ちゃん」
弟たちを呼ぶと、玄関の方に駆け寄って来た。
俺はふたりの頭をサラサラとなでてやりながら尋ねる。
「お前たち、何か将来なりたいモノってあるか?」
「なにそれー」
「僕は別にないよ」
一番下のラム(11)はよくわからない様子で首をかしげるが、次男のヨル(14)はいろいろ考えてはいるもののハッキリとした希望はないらしい。
「だったらな、ヨル。お前は地頭がいいし、『薬師』になれ」
「薬師?」
「そうだ。草花の特性を知り、薬草を調合したりする
「えー、なんだか地味だなあ」
「初めはな。でも、自然に精通すればやがて魔法を使えるようになるぞ」
「魔法!?」
途端に食い付くヨル。
薬師は占い師や魔道士に派生するジョブだからな。
「そうだぞ。お前、たしか魔法に憧れていたよな?」
「う、うん……じゃあ、やってみようかな!」
そう答えると、一瞬星の瞬くような輝きがヨルを包み、すぐに消えた。
「兄ちゃん、ぼくは?」
ヨルが何かしてもらったらしいのを見て、ラムは俺のシャツの裾を引っ張りつつせがむ。
「ラムは運動神経がいいからな。狩人をやってみたらどうだ?」
「狩人ってなあに?」
「森で獣を狩って、お肉や毛皮を手に入れるお仕事だ」
「へえ、カッコいい!」
「やってみるか?」
「うーん」
しかし、ラムは指をくわえてハッキリと答えない。
「どうした? 気が乗らないんか?」
「そうじゃないんだけど、ちょっと怖いかなぁって」
「なあに。いきなり森へ入ることはない。まずはお家で体を鍛えて、武器の扱い方を覚えるんだ。ラムならきっと強くなれるぞ」
狩人は剣士や騎士に派生するジョブだしね。
「そっかぁ。じゃあやってみる!」
そう答えると、ラムも一瞬光を放った。
すぐさまふたりのステータスを見る。
―――――
名前:ヨル
適正:魔法
職:【薬師】レベル1(0%)
身体能力:7
頭脳:15
技能:草花探索F(0/8)薬草調合F(0/8)
―――――
―――――
名前:ラム
適正:武
職:【狩人】レベル1(0%)
身体能力:12
頭脳:3
技能:索敵F(0/8)
―――――
うん、ちゃんとジョブを付与することができた。
この調子で領民たちへもジョブを授けていこう。
◇
現状、ダダリは450コマの領土に750人の領民が暮らしている。
450コマというのがどれくらいかというと、1コマが約20㎡くらい。
ダダリ全体はおおよそ9㎢ちょいの広さになる。
そのうちジャガイモ畑が70コマあって、これが現状ダダリの産物のほとんどすべてだ。
このジャガイモ畑は約100戸の家がそれぞれ耕している。
だからステータスを見れば多くは農民のはずだが、『農民』のジョブを冠しているのは各家一人か二人だった。
つまり、農地の大きさに対して人があまっていて、家で『穀潰し』扱いされているヤツが数百人いるってことだ。
誰しもが農民に適正があるわけじゃないし、産業のバランスが悪いよね。
そこで俺は適正を見つつ、領民750人のジョブを以下のように振り分けてみた。
農民:120人
狩人:75人
薬師:75人
商人:10人
このうち
大工や鍛冶に派生するジョブであり、施設建設にも大きな役割を果たす内政の要なので、最も多くの領民へ付与しておくのがセオリーである。
……さて、ここからしばらくは領民たちの成長を待たなければならない。
「やれやれ。ゲームならあっという間に何日も経過してくれるんだけどな」
俺はそうぼやきながら
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