梟の店

光模様

第1話

 石造りの狭い通りに反して、人通りの多い道をもみくちゃにされながら進んでいく。一メートル先も見通せず、頼りになるのは案内人の高い背中だけだ。

 案内人が窓の細い店の入り口で止まり、低い声でここだと言った。男に従い入店する。

 石造りの店内の中央にはカウンターが島のように浮かんでおり、皺の深く刻まれた白髪の老人が高い椅子に座っている。入口を除く壁三面には木製の棚が天井までゆるい間隔で設けられており、間には大きな鳥籠がいくつも詰められている。高い鳴き声、宙に舞って細い窓から差し込む日光に強く照らし出される羽。ここは梟の専門店だ。梟を飼育したことはないのだが、最近の飼育可能な品種の増加に興味を持ち、案内人を依頼して来た次第だ。カウンターの上には身体に対して異常に大きな茶色の羽をもつ梟たちが収められている鳥籠や、毛のような細くて長い羽を生やした梟が止まり木にある。首周りには鬣にさえ見えるほどの豊かな毛並みを備えた哺乳類のような身体だが、顔には鋭い嘴がある。

「獅子梟だよ」

 店主が小さな声で言う。

 文字通り獅子のような梟で興味深い。が、今回は飼育の簡単な品種を飼うと決めている。あれは手のかかる梟だと事前リサーチ済みだ。

「あれの気性の穏やかなのを見せてください」

 入店してから気になっていた、羽の異様に大きな茶色の梟。ケージの前に「羽梟」と書かれたプレートがある。確か、手入れも簡単だとサイトで読んだような気がする。

「穏やかっつったら、この子かな。餌は毛無鼠とか、白地栗鼠をあげればいい。うちでも冷凍のを置いているし、自家繁殖させる人もいるよ。手間かかるけどね」


 梟と冷凍の餌、他に必要なものを購入して店を出た。入り口で待機していた案内人に荷物を持たせ、私の足取りは軽い。

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梟の店 光模様 @inwater

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