再開と始まり編
1話 久しぶりの帰国
いつぶりだろうか。懐かしい景色と空気。
「んー、久しぶりに帰ってきたな。やっぱり落ち着く。てか、あいつら元気かなー」
「お兄様、30分後に迎えが来るそうです」
「おう、すぐ準備するわ」
妹の陽菜乃とそんな会話をした30分後、空港へ1台の黒いベンツが到着した。
「坊っちゃま、お帰りなさいませ」
「ただいま。てか、坊っちゃまってやめろよ、なんか他人行儀だな」
執事の近藤とも5年振りか、そう思うと懐かしい思い出が思い出される。
「申し訳ございません、なんせ会うのもお久しぶりだったので。それよりも、向こうでのお話、聞かせてくださいな」
近藤は俺と陽菜乃が小さい頃から専属の執事だったため、第2の親みたいなもんだ。だから、こうやって話してると、なんだか落ち着く。
「聞いてください近藤!お兄様ったら、向こうで活躍しすぎて、スペイン1部のトップチームが沢山獲得に向けて条件を提示してきたんですよ!もう、対応が大変だったんですから」
「いやいや、流石に大袈裟だろ。確かに活躍はしたかもしんねーけどさー」
「大袈裟なんかではありません!所属した5年間の間で5年連続得点王、5年連続MVP、5年連続ベストイレブンと記録を塗り替えたお兄様が、世界で最も活躍している次世代のスターと言われているお兄様が、最もイケメンのサッカー選手と言われて雑誌でも特集されていたお兄様が、大袈裟なんて有り得ません!」
「うーん、それは陽菜乃の助けもあったからだしなー、てか陽菜乃いなかったらまじやばかったわ、ほんとありがとな!」
「そ、そんなことないですよ、えへへ...」
陽菜乃は俺のサポートとして一緒にスペインへ渡った。5ヶ国語のマスター、スポーツフードマイスターの資格とパーソナルトレーナーの資格も所持しており、正直陽菜乃無くして成功はなかったと言える。
「てか、父さんと母さん、一人暮らしの件なんて言ってた?」
「その件でしたら、陽菜乃様と一緒という条件付きでしたら良いとおっしゃってましたよ」
「そっかー、うーん、陽菜乃も俺も年頃だしな。陽菜乃も流石に俺と一緒に住むのは嫌だろ?」
「え、構いませんよ?むしろ大歓迎というか、ドンと来いというか....えへへ..お兄様と一緒に住む.....えへへ....」
「あ、ああそう、ならいっか!」
なんか陽菜乃がニヤニヤしてるが大丈夫だろうか。そんな事を話していると、とある大きなマンションの前で車が止まる。
「着きました、ここが坊っちゃまと陽菜乃様の新しい住居となります」
「うわ、でか!しかもめちゃくちゃ綺麗だし.....何階まであるんだ?」
「40階までございます。セキュリティーの面も完璧ですし、何より高宮グループ所有のマンションですので安心安全かと」
「お兄様、しかもここ、まだ築5年の新築マンションらしいですよ。楽しみだわ!」
おいおいまじか、こんな高級マンションに住めるのか...まあ流石うちの両親と言ったところ。しかも都心だから利便性もめっちゃいいし、これから通う高校からも近いっていうし、完璧なんじゃないか?
「まあいいや。俺たちの部屋は何階なんだ?」
「最上階、40階です。しかも角部屋です」
「まじかよ、破格の待遇すぎるだろ....」
「お兄様、早速お部屋見に行きません?早く見たくてドキがムネムネしちゃってます!」
「それを言うなら胸がドキドキな?」
そんな会話をして、とりあえず俺たちがこれから住む最上階の角部屋とやらに向かう。カードキーになってて、男心をくすぐってくる。中は5LDKともう文句なく広く、めちゃくちゃ綺麗。学生が住むには十分過ぎると言える。荷解きも終わり、もうすっかり夜になっていたので、明日の高校の入学式に備えて、早く寝ることにした。
「なんかあっという間の1日だったな。明日の入学式、楽しみだな。あいつらも同じ学校だって言うし。会えるといいけど」
「お兄様、お部屋にいらっしゃいますか?それとももう寝てしまいました?」
「どうした?なんかあったか?」
「いえ、そうではなくて、明日から学校じゃないですか。私たちの通う学校って中高一貫なので、一緒に学校行きませんか?」
「もちろんいいぞ。てかそのつもりだったしな。」
「ありがとうございます!嬉しいです、それではおやすみなさい」
「おやすみ、陽菜乃」
明日も早いし、俺もそろそろ寝るか。そうして目をつぶり、明日へと備えた。
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