いつの時代にも、フランケンシュタインとマチルダは居る
今、落ち着いた私達は、部屋で小説など読んでいる。あるいは読んでいる
「
そう言いながら、恋人ちゃんが読んでいるのは『フランケンシュタイン』の文庫本だ。彼女の部屋の本棚から取られた物で、私も本棚から、同じくメアリー・シェリーが書いた『マチルダ』を手に取って読んでいる。こちらはハードカバーで、表紙に綺麗な女性のイラストがあって、これがヒロインのマチルダなのだろうか。
「でも、苦労が多かった作家さんみたいよね。昔の女流作家は皆、そうだったかもだけど。『マチルダ』は『フランケンシュタイン』出版の翌年に書かれたけど、父親の反対で生前は出版できなかったし」
『マチルダ』に付いてネットで調べると、「父と娘の近親相姦を描いた小説」というような記事が出てくる。と言うか、ハードカバーの
「『マチルダ』は話の展開も、メアリーの父親から嫌われたのよ。ヒロインに恋愛感情を持った父親が、自殺しちゃうんだもの。それでヒロインも精神的に
恋人ちゃんは『フランケンシュタイン』を高く評価していて、『マチルダ』に付いては、そうでも無いようだ。でも私は、もちろん『フランケンシュタイン』も評価するけれど、むしろ作品としては『マチルダ』の方が好きだった。明るい話では無いけれど、それを言ったら『フランケンシュタイン』だって暗い話なのだし。
「『フランケンシュタイン』も『マチルダ』もさ。書かれているテーマは、似ていると私は思うわ。どちらも、健全な愛を親から与えられなかった子供の話よ。フランケンシュタイン博士から生み出された人造人間も、マチルダも、愛を
メアリー・シェリーも、
「世間的にはフランケンシュタインが怪物の名前として知られてるから、それで通すけど。きっと街はハロウィンで、フランケンシュタインのコスプレも出てくるんでしょうね。人造人間も、お菓子は
そんな事を恋人ちゃんが言って、そう言えばハロウィンって、そういう
「あれも不思議よね。お菓子をあげれば、お
愛を与えられない人間は皆、可哀想な子供のようなものなのではないか。
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