ハロウィン・レクイエム

転生新語

プロローグ

 私は高校二年生の演劇部。先月、脚本を書いて、学校のクラスで劇を上演した。白雪姫とシンデレラと、かぐや姫が出てくる話。『十五夜狂騒曲』と、私はタイトルを付けている。


 脚本を書き上げた御褒美ごほうびとして、先月は同性の恋人にして演劇部の部長である、彼女とのデートをたのしませてもらった。そして今月は十月で、月末のハロウィンがひかえている。今年のハロウィンは月曜日で、街でたのしみたければ週末の土日に出かけるのが良いだろう。


 ただ私達カップルは土日を、おそらく家で過ごすだろう。おうちデート、という奴である。


「本当にいの? 週末を私の家で過ごすだけで」


 そう恋人が、私に言う。現在は金曜日の夜で、私が恋人の家を訪れていて、そこに泊めてもらう許可をている。私と恋人の交際は、さいわいな事に互いの家族から認められていたのだった。


「ここがいのよ。それとも私に、露出度の高いコスプレで街を歩いてほしい?」


 ちょっと挑発するように言ってみる。女子が二人で、コスプレ姿で街を歩けば、必ずと言っていいほどナンパ男が寄ってくるのは何故だろうか? 過去にいやにあった事がある私は、ハロウィンだからと言って街に出かける気になれなかった。


「そんな訳、ないでしょう……もう」


 今は彼女の部屋で、私達は二人きり。そばにはベッドがあって、床で座り込んでいる私の背後から、恋人が腕を回してくる。ちょっと力を入れれば、私を容易たやす絞殺こうさつできる姿勢で。そのままの姿勢で、彼女が言葉を続ける。

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