◎◎◎これまでのあらすじ◎◎◎


 1942年5月……。

 大日本帝国海軍連合艦隊は


 そして6ヵ月後の11月6日。

 対米戦最終勝利を確保するため、ハワイ攻略作戦を実施した。


 だが、ミッドウェイ島とハワイ諸島の中間地点まで到達した時。

 連合艦隊の全艦隊を包むように、金色こんじきに輝く超巨大な魔方陣が出現した。


 次の瞬間――。

 見渡す限りの大海原には、水平線に至るまで何も存在しなかった。



※※※



 連合艦隊は、異世界【リーンネリア】へ勇者召喚された。

 召喚したのは人族連合ひとぞくれんごう


 リーンネリアは、異次元からの侵略者【魔王国軍】に滅ぼされようとしていた。


 すでに世界の3分の2が制圧された。

 世界樹の大障壁が守る【リーン諸島】が最後の砦だった。


 その大障壁も、もはや突破されるのは時間の問題。

 そこで人族連合は最後の賭けに出た。


 強大な魔王国軍をせき止め、さらには押し返せるだけの強大な力。

 それを時空の彼方に求めたのだ。


 巨大召喚の代償は、世界樹が永年にわたって蓄積してきた高純度の魔素。

 リーンネリアの住民は、魔素がなければ何もできない。

 まさに背水の陣を敷いての勇者召喚だった……。


 かくして連合艦隊は、リーンネリアの海へ至った。


 召喚から三日後……。

 魔王国の艦隊がリーン諸島へ迫っているとの情報が飛びこんできた。


 たった三日では、あまりにも情報が不足している。

 それでも連合艦隊はリーン諸島を守るため出撃した。


 【南エレノア海海戦】

 そう名付けられた最初の戦い。

 連合艦隊は当初、準備不足により苦戦を強いられた。


 しかし……。

 連合艦隊員が魔法を使えることが判り、形勢は一気に逆転する。

 その後の戦いは一方的だった。


 連合艦隊、初陣に勝利す!

 それはリーンネリアにともった、かすかな希望の灯火ともしびだった。


 だが、最終勝利までの道のりは遠く果てない。

 いまだ人族連合は、世界の3分の2を失ったままなのだ。

 形勢を逆転するためには、なんとしても戦いを互角に持ちこまねばならない。


 そこで連合艦隊は、遠く離れたレバント海峡へ艦隊を派遣することにした。


 【レバント海峡海戦】と名づけられた極北での戦い。


 すべては北セトラ大陸に攻め込んだ魔王国軍を押し返すため。

 北セトラ大陸には、エルフの聖地である【レントン】がある。


 レントン国へ魔改造した近代兵器を手渡せば、彼らのみで侵略を防ぐことができる。

 連合艦隊は、反撃の手助けをしたにすぎない。


 北セトラ大陸が安泰になれば、人族連合に大きなメリットになる。

 南セトラ大陸にあるドワーフ族の国【グンタ】と共闘できるようになるのだ。


 グンタは人族連合軍の武器や防具を製造する一大拠点となっている。

 北セトラ大陸の安全が確保されないと、安心して後方生産を営めない。


 その結果、人族連合は軍備の回復に重大な支障をきたす。

 長期戦への布石。

 そのためのレバント海峡海戦だった。


 しかし……。

 魔王国軍も座して待ってはいなかった。


 魔王国軍は、【南エレノア海海戦】で連合艦隊の強さを知った。

 次こそはと、準備を整えて再侵攻する構えを見せはじめた。


 対する連合艦隊は、まだレバント海峡へ派遣した艦隊が戻っていない。

 戦力が半減した状況で迎え撃たねばならない。


 苦肉の策として。

 連合艦隊は、出せるギリギリの戦力を出撃させた。

 そのぶんリーン諸島の防備が手薄になるが、背に腹は代えられない。


 かくして……。

 シャトラン東方の海において、両軍が激突するのは確実となった。


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