第0−3話(番外編)新しい記憶

第0−3話(番外編)新しい記憶


 咲は明輝が少しでも元の記憶を取り戻せるように思い出の場所に連れて行った。だが、何一つとして思い出すことはなかった。


「あきにぃはもう何も思い出せないのかな・・・」


誰にも聞かれずに独り言が宙を舞った。

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 目が覚めてから2ヶ月が経ち、2019年5月14日。事故に遭う前の記憶は無いが幸せに過ごしていた。明輝は退院し、リハビリを続けていた。


「あきにぃおはよ〜今日も行くの?」


「うん。早く歩けるようにならないと💦」


「そっか。ごめんね・・あと無理しないでね?」


「もちろん。あと咲、謝らなくていいの。」


明輝は伊藤家に馴染み、事故前のように生活をしていた。明輝だけは事故のことについて朧げにしか覚えておらず、『。』という事になっている。


「咲が生きててくれるだけで嬉しいから。行ってくるね。」


「いってらっしゃい。帰ったら遊ぼうね❤️」


「うん。待っててね。」


明輝はお義父さんと車に乗って病院へ向かった。

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 そして5ヶ月経ち、10月14日。明輝はしっかりと歩けるようになり、学校に行きだした。午前10時、リビングでお義父さんとお義母さんが話していた。


「明輝くん学校に行けて嬉しそうね。」


「あぁ・・兄さんも喜んでくれているよ。きっと・・・兄さんにも見せたかったな、明輝くんの制服姿を。」


「咲ちゃんも明輝くんと一緒に登校出来るって喜んでたもんね。」


「でも、いつかは伝えないと・・・」


「そうね・・・・・」


2人は乾いた喉をほろ苦いコーヒーで潤した。


「ところであなた。」


「なんだい?」


「今日は明輝くんの誕生日なんだからご馳走を作らなきゃね。」


「そうだね!リクエストはシチューか・・・とびきりいいお肉使おうかな。」


「お昼食べた後買い物に行きましょ。」

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 番外編はこれで終わりです。読んでくださりありがとうございます!次から現在に戻ります。なぜ高校生になった今でも兄妹だと思っているのか。その秘密はまたいつかお話しましょう。これからも応援よろしくお願いします!

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