第14話 多数決
その日の小学校の授業は太陽と熱の話だった。
PTAのお母さま方で個人的なハーレムを作っているゲスのH先生が、何を考えたのか次のような問題を出した。
『部屋の中にお日さまが射しこんでいます。カーテンを閉めたときとカーテンを開けたときでどちらが部屋の中は暑くなるでしょう?』
当てられた私は次のように考えた。
熱の移動には3種ある。放射・伝導・対流だ。
対流は窓ガラスが遮断するので考慮外である。
放射はカーテンの反射率と部屋の中の光景が持つ反射率の情報はないので同じと考える。
伝導は窓とカーテンの間がカーテンがない場合よりは高温になる。この熱は窓ガラスを通じて外部に逃げる。
以上3つを勘案するとカーテンを閉めた方が全体の熱の放散量は大きくなる。
従ってカーテンを開けた方が部屋の最終的な温度は高くなる。
これに対して名前は忘れたが女の子の解答はこうだ。
こないだ家族で出かけて帰って来たら部屋の中は暑かった。そのときカーテンは閉まっていた。だからカーテンを閉めた方が部屋は暑くなる。
「どちらが正しいと思いますか?」
ゲスのH先生が多数決を取った。
クラスの全員が女の子に賛同する。
無理もない。この子供たちは電気クラゲは電気を出すから電気クラゲだと主張してやまない連中なのだ。クラゲの毒について説明した私は嘘つきということにされた。
「お前の間違いだ」
まるで鬼の首でも取ったかのようにゲスのH先生が宣言する。
物理学の法則が多数決で決められたという実に珍しい事例である。
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