第6話 眼と言うもの
人間の眼には偉大な力が眠っている。
その昔アフリカの原住民の視力は8.0あった。何もない地平線を朝から晩まで眺めていると、人間の眼はそこまで良くなるらしい。
いつも水平線を睨んている船乗りも視力が良い人が多い。
ゼロ戦時代の撃墜王坂井三郎氏は当時だれよりも敵機を早く発見するほど目が良かった。後輩にその秘訣を訊かれたときの答えはこれだ。
「昼間に星を見る訓練をすること」
このエピソードを話すとひどい冗談だと笑う人が多いが、それに対する反論として次の蘊蓄を挙げよう。
古代エジプトの神官の試験はオリオン座の近くにある星を見つけ出すことだった。現代の天文学者が照合したところ、その位置に星は無い。そのため何等かの間違いではないかと考えられてきた。
三十年ほど前、その位置に星が見つかった。その光度は何と八等星。大型天体望遠鏡を使って初めて見える星なのである。
大笑い。
中世ヨーロッパに描かれたスケッチ群がある。
そこに描かれていたのは数十種に及ぶ細菌の姿であった。細菌の形状は年代を経ても変化しない。だからそれらが捏造ではないことは現代の細菌の姿との照合で判明した。
この時代にはまだ顕微鏡は発明されていない。つまり肉眼で細菌を見ることができる人間がいたということの証明なのである。
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