第1話 首吊りの作法
首吊りには二つの死因がある。
脛骨骨折と窒息である。
これら二つのどちらの死に方をするかは首へのロープの回し方により決まる。
ロープが耳の後ろに回る場合、死因は脛骨骨折となる。この場合は即死となる。
日本の死刑は首吊りで行われるので、執行官はこちらになるように気を使う。体重が軽い場合は重りなどをつけたりする。
ロープが耳の前に来る場合は、死因は窒息となる。この場合は長く苦しむことになる。
首吊りの成功率は99%で、その中にはどうして自殺を選らんだのか分からないケースが多々ある。
これにはなんちゃって首吊りが多く含まれているのではないかと思っている。
つまり冗談で首吊りの振りをして、そのまま死んでしまったケースだ。
一般には知られていないことだが・・というよりはまったく知られていないある事実がある。
ある学生が友達と首吊りの真似をしてみたところ、吊った途端に手が上がらなくなり、隣で見ていた友人が異常に気付いて慌てて助け出したという話を聞いたことがある。
つまり首吊りをした瞬間に首の神経が圧迫されて両腕が動かなくなるのだ。ということは首吊りの真似をした者は間違いなく死ぬことになる。
深い後悔と共に。
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