第50話 報酬

「おわったのか、、」


「おわったよ!」


そう言ってレイは俺に駆け寄ってくる。




この戦闘が終わって元気なのはレイくらいだろう。


あとのみんなは俺も含め満身創痍だ。


アイノも加護を自分の能力以上に使って倒れているし、ミズキも先ほどの拘束魔法で魔力を使い切ったのか動けなくなっている。




なんとか依頼は達成できたが、達成感よりも疲労感が残る戦いになった。




「ほんとにワイバーンドラゴン討伐をしてくださったんですね。ありがとうございます。」


ギルドに帰ると応接間に通され、ギルドマスターのバールに御礼を言われた。


本当は文句を言ってやろうかと思っていたが、報酬をめちゃくちゃ弾んでくれたので言わないことにした。




俺は心配してくれた職員さんにも無事に帰ってきたことを告げ、スフィアのギルドを出た。




「せっかく温泉でゆっくりしたのに、結局疲れちゃいましたね、、」


「まあ、しょうがないさ。冒険者だしな。」


あの依頼はバールから貰った報酬の他にも得るものがあった。


それだけで満足だ。




「それにしてもかっこいい剣ですね。」


ミズキは俺の腰の鞘に刺さっている剣を見ながら言う。




そう、バールからの報酬の他に得たものはワイバーンドラゴンからドロップした剣だった。




{ウルガイヤソード Aランク}


今まで使っていた剣も悪くはなかったが、この剣には敵わないと持った瞬間思うくらいには違った。


長さは心我と変わらないが、とにかく軽いので速度が段違いだ。


刀身は鋭く紅く光っている。




もちろんまだちゃんと使ったことはないから、この剣の全ては分からないがそれでも充分強いと思う。




「それで次はどこに行くの?」


「次はコーザに向かう」


コーザは修行の街と言われていて高い難易度のクエストが多い。


ある程度ランクが上のパーティはそこでランクやレベルをあげることから修行の街と言われるようになったそうだ。




「俺たちも今回の依頼の達成を鑑みてBランクに特例であがったんだ。これならコーザの街でも充分にやっていける。」


「そうだね。私もそこに行くのに賛成だよ。あんまりランクの低いクエストをしてもしょうがないし!」


ランクが高ければ高いほどクエストポイントも増える。それだけAランクパーティに近づくってことだ。


「私達はまずAランクパーティにならない事には魔界の扉も見つけられないですからね。さっさとそこであげてしまいましょう」


ミズキとレイも文句はないみたいで、むしろ乗り気だった。




俺は名残惜しく、この街の名物で最初に食べた紅葉型のおまんじゅうを買ってコーザに向けて進み出した。

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