第27話 神秘の森2
「シルさん、あなたの力を私に貸してくれませんか。」
不躾なお願いなのは重々承知だ。それでも私は悪魔族に対抗出来る力が欲しい。
私はレイちゃんとシルさんが話している間に入り込んだ。
「あなたは確かミズキさんよね?どうして私の力が欲しいの?」
あんまり興味がなさそうにシルはミズキを見ている。
「アルヤさんとずっと一緒に居たいんです。そのためには悪魔族に対抗できる力がいるんです。」
一緒に居たいだけならいらなくない?とシルは言っていたので、俺とレイがこの旅の目的を話した。
「なるほど、、たしかにそれなら悪魔族に対抗出来る力はないといけないね。でもそれは本当に危険なことなんだよ?すぐ死んでしまうかもしれないしやめといた方が身のためじゃない?」
シルはミズキに冷たく言い放つ。
なにもそこまで言わなくてもいいんじゃないかと俺は思うが、、、
「それでもいいんです。私はアルヤさんと一緒に居るために生きていくと誓ったんです。」
真剣な眼差しでシルを見つめる。
シルもジッとミズキを見つめ返している。
「その言葉に嘘はないようだね。ただ、あなたのその心はアルヤくんを独り占めにはできない。それでもいいの?」
「はい。」
ミズキは強くシルに返事をした。
「うん、あなたの強い気持ちは確かに受け取ったよ。気に入った。君と契約してあげよう。」
「ほんとですか!?」
「同行することはできないけど、遠くから見守っているよ。」
そしてシルはミズキの額に口づけをした。
「私は心を司る精霊。その加護は嘘を見抜くことができるようになることだよ」
正式にミズキとシルの契約が成立した瞬間だった。
「いや~よかったよ。あそこで嘘をついてたらみんなまとめて森から追い出されていたからね。あの子、嘘が大嫌いだから」
普段は祠の人形から観察してて、疚やましい心をしている人がいたらすぐに武力行使できるようにしてるしね。
「なるほどな」
だからあの人形。視線が動いた気がしたのか、、。視られてたんだな。
「そういえばシルさんは契約したら加護があるって言ってたけど、レイは何を司る精霊で何の加護を俺にくれてるんだ?」
いままで精霊属性付与の恩恵くらいしかまともにもらってないし、そもそもこいつが何を司る精霊なのかは聞いたことがない。
あれ、、俺がこいつと契約したメリットってあんまりなかった?
「言ってなかったね~私は運を司る精霊で、加護は珍しいスキル、詳しく言えば取得率1パーセント未満のスキルの強化だよ。」
運を司る、、、こいつは精霊界でギャンブル中毒にでもなっていたんだろうか。
「ねぇ、失礼なこと考えてるでしょ。」
「いひゃい、いひゃい、、」
ごめんって。だからほっぺ引っ張らないでめっちゃ痛いから、レイちゃん俺より強いんだからしゃれにならないから!
「全くもう~」
とりあえず目標は達成したし、まずはギルドに戻って報告しよう、そうしよう。
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