ダンジョンで傷ついてた野良猫を助けただけだったのに

あずきもち

プロローグ

第1話 15歳の誕生日

「やっと15歳になれた!」




まだ朝日が昇り始めたころ、ひとり俺はウキウキしていた。




俺の名前はアルヤ。今はまだ農家の手伝いをしている。


そう今はまだ、だ。




「「誕生日おめでとう!」」




「ありがとう!」




両親が俺の15歳の誕生日を盛大に祝ってくれた。




「これでアルヤも15歳になったのか」




俺の父親であるカズが感慨深く話しかけてくる。




この世界では15歳になると人生で大きな選択をすることになる。




それは、冒険者になるか否かだ。




この世界はモンスターで溢れかえっている。そのモンスターを退治して世界を平和にするのが冒険者の役割だ。




なぜ、冒険者になるかどうかを聞かれるかと言うと、、




昔は、皆15歳になると冒険者にさせていたそうだ、しかしモンスターに子供が大量に殺されてしまい、街や村の人手が足りなくなったことで今はやりたい人だけやるという形になっている。




「本当に冒険者になるつもりなの、、、?」




母親のマイが心配そうに俺に聞いてくる。




「そうだよ!ずっとこの時を待ってたんだ!」




ずっとこの小さな村で両親と暮らしていくのもいいかもしれない。


でも、それだときっとこの世界がなくなっちゃう。




~5年前~




「そーと、そーと」




よしよし、気づかれないでうまく家を抜け出せた!




「毎日毎日、畑仕事の手伝いだけしててもお小遣い貯まらないし!」




夜も更けた頃、ライト片手に結界の外に出た。




いつも両親から口酸っぱく危ないからダメと言われてるけどね、、




俺がいる小さな村には村の外に結界が張られている。それは村の裏にある洞窟からモンスターが村に入ってこないようにするためだ。




「でもいままでモンスターなんてきたことないから大丈夫でしょ!」




俺は今まで何回か黙って結界の外に出たことはあったが一度もモンスターにあったことはなかった。




今回も大丈夫と高をくくっていた。




「これこれ、、。」




森を進んで行くと少し白く光る石が見えてくる。この石の欠片が街に行くと高く売れるんだ!




まあ、高いといっても俺のお小遣いからしたらだけど。




「こんなもんかな」




一通り、石の周りに落ちている石の欠片をひろって、俺は帰ろうとした。




「ガアアアアアア!」




「なにっ!」




鳴き声をした方見ると、そこにはオオカミのようなモンスターが一体目の前にいた。




石を拾うのに夢中で気づかなかった!




「逃げなきゃ、、!」




はぁ、、、はぁ、、、!




「わっ、、!」




俺は走って逃げていたが、石に躓いて転んでしまった。




もう食べられる、、、




そう思って目を閉じた。




「クキャーー!」




眩い光が点滅するとモンスターは俺の目の前からいなくなっていた。




「なんで、、、」




「大丈夫だった?」




俺よりすこし年上に見える少女がそこには立っていた。




「うん。助けてくれてありがとう。」




「よかった。でも危ないからもう来たらダメだよ」




「う、、、」




こんなことになるなんて思ってなかった、、




「あら?あなたの周り小さな精霊が集まっているわね」




「精霊、、、?」




「そう。精霊はこの世界を守ってくれているの」




「そうなんだ」




精霊なんて初めて聞いたな、、




「精霊に好かれている人は精霊の守護者の権利があるって言われているわ。」




「うーーん?」




そんなことをいわれても全然分からない。




「この世界はいずれ消えてなくなってしまうの。それを止めることが出来るのは精霊の守護者だけなの」




「この世界がなくなるの!?そんなの嫌だよ!」




「もしこの世界を守るには精霊の守護者になるしかないわ。」




「どうしたら精霊の守護者になれるの?」




「それはまた君が冒険者になってここにきたら教えてあげる。」




じゃあまたね。そういって少女は居なくなってしまった。




そこからどうやって家に帰ったかは覚えていないが両親にこっぴどく叱られたのは覚えている。






「まあ、アルヤが決めたことなんだ。俺は応援するぞ!」




「そうね、、」




父は元気に、母はしょうがないといった感じで俺が冒険者になることを認めてくれた。




「冒険者になったなら隣町のギルドに行って登録をしないいけないから、まずはそこにいきなさい。」


そういって両親はいくらかのお金を持たせてくれた。




「寂しくなったらいつでも帰ってくるのよ!」


そういって母は俺のことを送り出してくれた。

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