ラストリゾート
人口約1270万人。総帥はラヴオール・ラテランジェロ。
人工的に開発された楽園都市であり、世界で初めてライフラインを魔法に一本化した共和制国家。近未来的な都市景観と、都市を彩るホログラム、常に天の川が観測できる気候も相まって、非常に幻想的な雰囲気を持つ。全てのエネルギーが魔力によって賄われており、人々は日常的に魔法を用いて生活を送っている。洗濯や料理などの家事はもちろん、道具さえあれば全て魔法がこなす。人々の暮らしは便利で豊かなものだが、魔法がもたらす環境被害が社会問題にもなっている。そんな最新の科学技術を活用して開発された楽園という成り立ちから、魔法産業革命の象徴的存在とも呼ばれる。一方で、その存在が認知されているに関わらず入国する方法はおろか、どこに存在するのかは公表されていない。
楽園政府ネクサスによって統治されている。ネクサスは執政長官と複数の役員で構成され、立法及び司法を担う楽園律令省、行政的な業務を担う楽園守護局、科学の発展を管理する造園理事会を運営する。
各地区はセクターと区別され、NSEWそれぞれ5セクターずつ区切られている。中枢部であるセントラルセクターにはラストリゾートを統治する楽園政府ネクサスの本部が存在する。ネクサス本部は空中城塞となっており、その外観から『シャンデリア』と呼ばれている。N1セクターは造園理事会の管轄区域、摩天楼トータルエクリプスタワー、N2セクターには多数のテロリストたちが潜むホログラム街、N3セクターにはアンドロメダプラザ、N4セクターは工業地帯を擁する企業都市『エンタープライズ』、N5セクターには港町がある。S1セクターは楽園律令省の管轄区域、S2セクターには木漏れ陽魔法学校 、S3セクターには世界魔法史博物館、S4セクターにはセラバウム市街がある。E1セクターは月城財閥の所有区域、E2セクターには木漏れ月魔法学校、E3セクターにはラストリゾート記念公園や月城財閥の屋敷、E4セクターにはアンロック廃鉱山都市、E5セクターには大晦日がある。W1セクターは楽園守護局の管轄区域、ラストリゾート市警察署、W2セクターはDSR本部、W3セクターにはプールや遊園地などを含む超大型レジャー施設『ゴッドレードル』、W4セクターは工業地帯を擁する企業都市『エンタープライズ』がある。上記のように、ファーストセクターベルトは政府管轄区域、セカンドセクターベルトは生活区域、サードセクターベルトは文化区域、フォースセクターベルトは工業区域、フィフスセクターベルトは開発難航区域となっている。全てのセクターにはラストリゾート・リニアラインという高速運行可能な鉄道が敷かれている。また、各セクターに1基ずつ存在する『ユレーナ・コンデンサー』は、ライフラインとなる魔力を制御する為の電波塔のような役割を持つ。外縁部は未開拓の海あるいは暗土になっており、魔力の影響で人間が活動できる領域ではない。
ラストリゾート市警察は、楽園政府ネクサスが設置した楽園守護局が運営する組織。通称GPD(Gardens Police Depertment)(或いは揶揄的に園芸部員(ガーデナー))と呼ばれる。超自然的現象や暗黒街が関わる事件はDSRが対応するのに対して、民事的或いは刑事的な事件を取り締まる機関である。元々DSRは非合法的な独立した機関であるのに対して、警察は公的な存在。それゆえDSRの活動も警戒対象にあり協力することは少なかったが、2049年に起きたベイングローリー・スタジアム奪還作戦以降、DSRが事実上政府の管轄下に入ったことで現在は協力関係にある。このことから、警察内部ではDSRを信用していない者も少なくなく、連携を取るといっても表向きそうしているだけに過ぎない。警察では対処しきれない超常現象が絡む事件はDSRが対処する、いわゆる楽園守護局の秘匿された特殊な部署のような扱いである。とはいえ、警察のみで魔法的事件に対処できない現状は思わしくなく、楽園守護局統括・蘇武郁緒と政府長官ウィリアム・シェンは外部組織であるDSRに頼らなくてもいいよう、政府が直轄する実働部隊の導入を推し進めようとしている。
教育機関は木漏れ陽魔法学校と木漏れ月魔法学校の2校に集約されており、どちらも基本七年制の共学。そもそも魔法戦争による大幅な人口減少や通信制による自由な独学が成り立っていたこともあって、学校という機関は価値や需要が薄くなっている。学年は年齢ではなく習熟度によって分けられ、飛び級制度も認められる。木漏れ陽は楽園政府ネクサスが設置した由緒ある公立学校であるのに対し、木漏れ月は月城財閥が出資した民営的な私立学校である。前者への入学は招待制、後者への入学は志願制(といっても来るもの拒まず)であることも大きな特徴で、自由度にも大きな差がある。また、木漏れ陽の学生服は軍服にセーラー服、木漏れ月はブレザータイプに男女共にネクタイの代わりにジャボになっている。
流通する通貨は『レム』単位で計算される。『レム』は電子通貨の総称であり、魔導暦元年のフェイズシフト以前より流通していた。魔法産業革命及び、ラストリゾートの開発に伴い現存する全ての貨幣は『レム』に統一。遺伝子情報のように全ての流通経路が記録される情報集積体であるこの通貨は、偽造不可能なものとして非常に信頼性が高い。仮に魔法技術によって偽造されたとしても、暗号化された集積情報までは再現できないためである。例外として、暗黒街においては電子通貨の代わりに硬貨が用いられる場合がある。
主流となっているソーシャル・ネットワーキング・サービスとして『ユナイト』が存在する。N4セクター及びW4セクターに広がる企業都市エンタープライズに本社を置くIT企業『ユレニゲイツ』が展開したサービスであり、他にもインターネット検索エンジン、ソフトウェア、ハードウェアなども手掛ける。『ユナイト』はビジネスとプライベートの両面で利用され、ラストリゾート内でのみの使用に限定される。将来的には他国での使用や国際的な交流も視野に入れた開発が続いている。
また、ラストリゾートの土地は一から作られたのではなく、複数の大陸を繋ぎ合わせて作り直した国家である。つまり、住民の大半がいつしか住んでいた土地がラストリゾートと呼ばれるようになったということ。彼らは楽園にやってきたのではなく楽園にいただけであり、外の人間がラストリゾートの場所を知らないのはそのためである。フェイズシフトの発生によって空間が歪み分断された土地を繋ぎ合わせて出来たという事実は楽園政府より公表されているが、その手段については魔法としか伝えられていない。しかし近年では魔法産業革命当時の技術力で大陸そのものを移動させることが可能かどうか不透明だとして、ラストリゾートを作ったのは世界に九人しかいない超能力者の一人ではないかとまことしやかに囁かれている。
ちなみに、構成する大陸の大半の元々はアズガナン連邦のもの(植民地を含む)であり、住民の大部分をアズガナン連邦人が占める理由でもある。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます