32話 ビュオ゛オ゛オ゛オ゛

ユキメロンを求め、新たに三人の助っ人を引き連れあ俺達は更なる奥地に足を進めていた。


「てか結局三人は何しに来てたんだ?」


「あー…出来れば聞かないでくれると…」


「確か数年前まで眼帯を着けて左手が「あたし達は雪女の調査だよ!」」


ミラさんの暴露に合わせてあっさりと目的を話してくれた。


「もう隠す必要も無いか…僕たちは新型雪女について調査しに来たんだ」


「調査って事はある程度の目星は着いてるんですか?」


「実はあたし達もよく知らないんだ」


「え、そうなのか?」


「うん。ここ最近、子供達が『新型雪女だー!』とか騒いでるから親御さん達に何とかしてって依頼されたの」


なんだそりゃ。


「新型だけがどうしても分からなくてな。子供達に聞いても曖昧な返事しか帰って来ないんだ」


「『とにかく新しいんだ!』って返事ばっかですの。情報はほとんど無いに等しいですわ」


うーん…子供達の感性は分からんからなぁ。


でもヴィラを見て逃げたって事は人の形であることは間違いなさそうだけど…


「と言うか親御さんに直接依頼されたんですか?依頼を受けたりする所は…」


「もしかして都会とかにある依頼所の事?あたし達の住む所にそんなの無いよ?」


「僕たちの住む所は小さな集落みたいな物だしな。そんな物を建てなくても問題無い」


この辺って思ったより田舎なんだな。


さて、結構歩いたな。


「ちょっと休憩するか…」


「ミラ、あとどれくらいで着くにゃ?」


「長くても15分程度だと思います。もう近いですよ」


お、結構近いじゃん。それじゃあ少し休憩してさっさと終わらせるか。






更に足を進めて行くと、茶色の木や白の雪の中に唯一全身が黄色い木が見えた。


「お、あの木とか怪しくないか?」


「あ、あれです!あの木がユキメロンの木です!」


やっとか!紆余曲折あったがようやく見つけたぞ!


「長かったにゃあ…にゃふしょん!」


「おー!黄色で目立つねー!」


「少し吹雪いて来ましたし、早く採って帰りましょう」


よし、行くか…



………ヒュオオオオ



……ん?



「なんか吹雪強くなって来てないか…?」


「山の天気は変わりやすいから仕方ないですわ」


ま、まあそうだよな。とにかく早いとこ…




ビュオ゛オ゛オ゛オ゛!!!!




「いや可笑しいだろ!!こんな急に変わるか!?」


「ま、まあ変わりやすいから仕方ないですわ」


「こっちを見て話せ」


くそ…これじゃあ迂闊に近付けない…


「い、一旦退きましょう!これじゃあ危険過ぎます!」


「君達こっちだ!近くに洞窟があるからそこに避難するぞ!」





ブオ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛!!!!





洞窟内


何だこの吹雪は…


「さ、寒いにゃあ…」


「この吹雪だとアイテムあっても流石に冷えますね…」


二人ともかなり寒そうだ。そう言う俺も結構寒い。


防寒対策は当然してる。だがそれ以上に冷え込むからキツいな…


「う~…さむっ!」


「かなりの吹雪だな…」


「村のみんなは大丈夫ですの…?」


地元民の三人ですらそこそこ寒がっている。そりゃそうか、この吹雪だし。


「ミラさんは大丈夫か?」


「保温魔法がありますので大丈夫ですよ。…それでも少し冷えますね」


うーん…あんまり長居するのは得策とは言えないけど、この吹雪の中外に出る方が危険だ。


仕方ない。弱まるまでは待機して…






ビュオ゛オ゛オ゛オ゛!!!!









…は?






「何で洞窟の中まで吹雪くんだにゃあ!!!」


洞窟の中まで猛吹雪になったぞ!?


どうなってんだこれ!?


「これは…!」


吹雪に当てられたヨアンが何かに気付いたみたいだ。


「分かったぞ!この吹雪は雪女の仕業だ!」


「雪女!?もしかして新型か!?」


「それは分からん!だが雪から魔力を感じる!こんな事するのは奴しか居ない!」


人為的な物か!なら洞窟の中で吹雪くのも頷ける!


「でしたら退治を!…ぐっ…吹雪で前が…!」


「くそ…吹雪のせいで見つからん…」


目の前は完全に真っ白だ。どこを見ても真っ白、恐らく全員こうだろう。


『!!』


「今の誰の声だ!?誰がどうしたんだ!?」


くそっ!何がどうなってんだ!


「みんな無事か!?俺だ!ヤマだ!無事なら返事をしてくれ!!」


「わ、わた…ヴィラは無事です!」


「ネネも大丈夫にゃ!」


「ミラも大丈夫です!」


「カレンも大丈夫ですわ!」


返事が無いのはヨアン、ニコラの二人だ。


くそっ…どこだ!どこに居るんだ!


流石に死なれるのは気分が悪い!


「おいヨアン!ニコラ!お前達はどこに居るんだ!」


「居るなら返事をしなさい!!」


駄目だ!返事が無い!このままだと…







…あれ?


吹雪が収まって…


「捕まえたよー!」


…うん?


ニコラはゴミを引き摺るかの様にして水色の長髪に白の着物を来た人を持ってきた。


失礼かもしれないが、持ってきたと言う表現がピッタリだ。


「こんなあっさり捕まえるとは…」


「今日程仲間で良かったと思った日はありませんわ…」


「お、お見事としか言いようがありません…」


ヴィラまで素直に感心していた。






「吹雪も収まったな。やはりこの雪女のせいで間違いないか」


「せっかくですし、新型の件も聞いてみますわ。何か知ってるかもしれないですし」


「僕も聞いてみたいです。正直新型雪女は結構興味があるんです」


「二人はそれでも良いか?」


「もうここまで来たら雪女の件もハッキリさせときたいにゃ」


「私もです。何で間違えられたのかも知りたいですし…」


よし、なら暫くは待機だな。


寒さも引いてきたし、少し暖を取って体力回復を…


「それとさー、そっちのリーダー君!」


「お、俺か?」


ニコラが俺に話しかけてきた。


「さっきはありがとねー!キミの呼び掛けちゃんと聞こえてたよ!」


呼び掛け…?あぁ!猛吹雪の中で叫んでたあれか。


今思い出すとちょっと恥ずかしいな…


「でもヨアンはちゃんと返事を返してあげなよ」


「僕は普通に距離があったから聞こえなかったな…」


さいですか。


「あたしは流石に返事返す余裕無かったもんで!あはは、ごめんごめん!」


両手で拝む様な形で謝ってきた。


まあ、あの視界不良、尚且暴風の中じゃ仕方ないか。


「いやー!でもキミの事ちょっと気に入ったかも!ねえねえ、良ければこっちのグループに入らない?」


「何勝手に引き抜こうとしてるんだにゃ!!」


「ヤマさんは渡しませんから!!」


二人が後ろから俺の両腕を抱き締めて来た。


…普通に恥ずかしいから止めてくれ。


「ほえー…キミ、スッゴい愛されてるね!羨ましいねぇ、このこの!」


「…ノーコメントで」


「ちょっとニコラ!遊んでないで手伝って下さいな!」


「ごめんごめん!今行くから!じゃ、みんなは寒いと思うし、休んでてね!」


そう言い残してニコラは雪女の所に行った。


さてと、ここはお言葉に甘えて雪女が目覚めるまでゆっくりさせて貰いますかね。





ちょっとおまけ sideネネ


「うにゃあ…あいつら全員嫌いだけど何処か憎めないにゃ…」


変人ばっかだし、カレンは特に嫌いにゃ。


でも心の底からは嫌いになれない。そんな集団にゃ。


「うーん…俺も最初は何だこいつらって感じだったけど、今はそんな嫌いとは思わんが…」


「僕もですね。ニコラさんとか見てて面白いです」


「まー確かに、あの奇抜さやぶっ飛んでる所は見てる分には面白いな」


「確かさっきも絡まれてましたよね?」


「まーな」


ヤマはミラと仲良さそうに話始めたにゃ。やっぱり同性だと波長が合うのかもしれないにゃ。


仕方ないにゃ。今回はネネはヴィラとのトークで我慢するにゃ。


「んにゃ?」


「やっぱりニコラさんみたいに大きい方が…でも普段邪魔ですし着れる服も…」


ヤマとミラは気付いてないけど、ヴィラが胸の辺りでさわさわと手を動かしてるにゃ。


「自分の胸触って何してんだにゃ」


「はうあ!?な、何でもないですから!!」


???


こいつ何がしたかったんだにゃ?

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