第6話 大都市の探索
「君は確か…」
「は、はい。以前助けてくれました、セレナって言います」
前に囮作戦をして助けたエルフの女の子だ。
もう会わないと思ってたが、こんな所で会うとはな。
「前は本当にありがとうございました!あなたは命の恩人です!何かお礼させて下さい!」
この子、ほぼ初対面なのに結構来るな…
「いや、お礼とか要らんよ。そんなつもりで助けたんじゃないし…」
「ダメです!命を助けてくれたのに、知らんぷりとか出来ません!」
あー…こりゃ駄目だな。絶対引いてくれないパターンだ。
お礼…ねぇ。一応あるっちゃあるが…
ダメ元で聞いてみるか。
「じゃあ2つ良いか?」
「は、はい!何でも言って下さい!大金でも私の体でも、どんな事でも大丈夫です!」
だから俺はそんな理由で助けたんじゃないから…
「あの時ナイフを落としちまったんだ。それを買ってさえくれれば…」
ちょっと嘘付いたが、これくらいなら良いだろ。
「分かりました!最高級で切れ味バツグンのナイフを用意します!」
「いや、安いので良いよ…」
「本当に良いんですか?お金なら心配しなくても…」
いやさ、これから血みどろになるのが確定してるのにそんな高いのは使えんわ。
何とか説得し、渋々ながらもセレナは了承してくれた。
「それと…もう一つと言うのは…」
「俺さ、田舎者だからアユルの地理に詳しくないんだ。だから色々と案内してくれると嬉しいなーって…」
「分かりました!そんな事で良ければ案内しますね!」
よし。地理を覚えながら、なるべく目に付かない場所や死にスポットを探すぞ!
アユルの地理を大まかに纏めるとこうだ。
まずアユルは五つのエリアに分かれている。
家が並ぶ住宅街、生活品の売買がある商店街、モンスター討伐等に向けた装備街、酒場やそっち系の店がある娯楽街に分かれている。
残り一つが仕事街だが、ここには出店申請や討伐依頼等、お使い依頼等を受けたりと、働ける施設が多くある。
今後はこの仕事街から依頼を受けて金を稼ぐことになるだろう。
他にも色々細かい施設はあるが…まあ今は良いだろう。
セレナもたまにお使い依頼を受ける事があるらしく、『簡単な依頼だから大丈夫だよ!』との事。
じゃあ前、森に居たのは依頼かと聞いたら
『弓の練習してたらオークに当てちゃって…』
だとか。何してんだこいつ。
さて、何はともあれアユルを一周したな。
「大体こんな感じですね」
「今日は助かった。ありがとう」
いや、マジで助かりました。
「い、いえ!こちらこそ!」
「じゃあ、またいつかな」
「はい!本当にありがとうございました!」
セレナはぺこりと頭を下げて、その場を後にした。
で、とりあえず探した死にスポットだけど、日中の間は無いに等しいと言っても過言では無い。
確かに人目の少ない所は何ヵ所かあったが、少ないだけで誰かしらが必ず居る。流石は大都市と言った所か。
一ヵ所くらいは流石にあると思ったんだが…どうして俺の死に活はこんなに上手く行かんのだ…早く一回くらい死なせてくれ…
だが、そんな事言っても仕方ない。無理なもんは無理だ。切り替えて行こう。
ナイフ問題は解決したし、アユルの地理も分かった。これだけでもかなりの収穫じゃないか。
さて、次は食料代を稼ぎに早速仕事街に行くか。
場所は移り、仕事街の依頼所。
カウンターの受付嬢に今出てる依頼を見せて貰ったが、どれも何だかなぁ…って感じだ。
でも今日の夕飯代くらいは稼がんと…
「ん?これ…」
その中でも一つだけ、目についた依頼があった。
『依頼名
ドクグサ、ダイドクグサが30本欲しいにゃ
内容詳細
毒ナイフや毒煙玉を沢山作るのにそれなりの数が必要にゃ
沢山採ってくれば報酬は弾むにゃ!
報酬
1000ルピ
15本毎に+100ルピ上乗せ
依頼者
(獣人)ネネ
備考
毒草注意!入念な準備をしてくにゃ!』
「毒草集めか」
「あ、それですね。確かに報酬は悪くないんですが、毒草って事で中々受ける人が居ないんですよ…」
確かに1000ルピあれば、パンは3日分買ってもお釣りがでる。
かなり破格の報酬だ。
「いや、これ受けるよ」
この毒草なら本でも読んだし、現物も元家の周りに割りと生えていた。
こればかりは元家に感謝だな。
「毒草にだけは詳しいんだ。対策も知ってるから大丈夫です」
「分かりました。ですが万が一がありますので、こちらの解毒薬をお持ち下さい」
「ありがとうございます」
その後はモンスターに襲われた時の対応や、若い芽を摘んではいけないとか細かい説明を受けた。
とりあえずは安全第一+毒草を指定の袋に入れてくれば良いらしい。
ちなみにモンスターの対応は流し聞きしてたから、あんまり覚えてない。
場所は変わり森入り口。
この依頼を達成すればそれなりの金が手に入る。
3日程度の食料には困らんし、今回はナイフもある。結構死に活に力を入れれるな。
報酬の上乗せもあるし、こりゃ気合い入れんとだ。
あわよくばモンスターに遭遇して殺してくれる事を祈って!
「うし、行くか!」
俺は森に入って行った。
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