バイロンの手稿
バイロンの手稿1
西暦2032年12月――突如として発生した巨大地震と共に現れたダンジョン。
山や森、都市部や郊外に構わず洞窟のような深い大穴が開き、中にはモンスターが発生。
人々は最新鋭の兵器を以ってモンスター達に挑んだが、不可思議な事にモンスター達は身体に特殊なバリアを張り、兵器による攻撃は全て無効化された。
幸いな事に、モンスターがダンジョンの中から出てくる事はなく、ダンジョン外で過ごす人々に被害が及ぶ事はなかった。
西暦2033年2月――国連参加国による国際会議が開かれ、ダンジョンに関する国際法を制定。
その内容は一般人のダンジョンへの侵入、及びモンスターへの攻撃を禁止するというものだった。
西暦2033年4月――人々のダンジョンに対する関心も薄れ、次第に日常生活に戻りつつあった頃、人類史上最大の悲劇が発生する。
――超大規模スタンピード。
世界中のダンジョンからモンスターが溢れ、人類に対する攻撃を開始。対抗手段を持たない人類は一方的に蹂躙され、世界で数千万の犠牲者が発生した。
人類はモンスターに恐怖し、怒り、反撃を試みようとしたが、科学の力で立ち向かうことは出来ない。
対抗手段を模索する日々が続いた。
西暦2033年5月――人々の中で超常的な力に目覚めた者がいることを発見する。
ある者は巨大な岩を片手で持ち上げ、ある者は目にも止まらぬ速さで移動し、またある者は火や水を自在に操った。
人々は希望を見出した。
――これで、我々は戦える、と。
超常的な力を持つ者達の活躍によりダンジョン外に出ていたモンスター達は殲滅。
だが、モンスターへの脅威が完全に無くなった訳ではなかった。
西暦2033年7月――後に「賢者」と呼ばれる存在により、超常的な力を特徴ごとに分類化する機器が開発される。
またその発明に起因し、形態化された超常的な力は「スキル」と呼ばれるようになる。
「スキル」は能力の強力さによってランク分けされ、上からSS、S、A、B、C、D、E、Fとなり、上のランクほど希少性が高くなる。
西暦2033年8月――ダンジョンに関する国際法の廃止。一般人もダンジョンに入る事が可能となり、モンスターへの攻撃が認められる。
西暦2033年12月――ダンジョンに潜り、モンスターを倒す人々が急増。人々はそんな者達を「冒険者」と呼んだ。
これより、いわゆる「冒険者第一世代」の時代が始まる事となる。
――とある冒険者ジャック・ゴードン・バイロンの手稿4より抜粋
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