【完結】前世の記憶があっても役に立たないんですが！

第32話

最後まで一言も話さなかったジークが「これで終わったとは思えないんだ」

え？ジーク？

「結局今回は彼等だけが処分されたけど、原因のハウゼン嬢には何のお咎め無しなのが納得出来ないんだ。」

「それは私もだが、王家の下した処分だからな、それに彼女に侍っていた男たちがいっぺんにいなくなるんだ、賢い奴なら近づかなくなるだろう。」

わたくしも兄の言う通りだと思うわ。

「ジーク心配しないで？これからだって1人になったりしないし、登下校だってジークがずっと一緒にいてくれるのでしょ？」

笑顔で言うと、まだ安心出来ないのか心配そうに見つめられる。

「そうだな、警戒だけはしておこう」

もし、アリサ様が転生者なら次はどんな手を使ってくるだろう？

まるで、彼女が悪役令嬢みたいね。

転生者なら王道の悪役令嬢の手段を知っているからその手を使うかも？

ユリアとイザベラが帰った後に、兄とジークに相談してみよう。

報連相は大事だと前世の兄さんが言ってたもんね。

「それで？シアの気になる事とは？」

兄とジークには乙女ゲームの事は話しているから今から話すことも理解してくれると思うの。

「今のアリサ様が本当に転生者だとしたらゲームからの知識を使ってくるかもしれないの」

それからゲームや小説の中の悪役令嬢のやってきた悪事を話していく、その中には誘拐や強姦とかも入っており、兄もジークも顔色を悪くしながらも真剣に聞いてくれた。

「それが本当に起こる事だとしたら？それか起こそうと企んでいたら？」

ジークが抱きしめてくるが震えている。

背中を擦りながら「大丈夫よ。絶対に一人にならないわ」

「シア、暫く学園を休め！家から出るな！」

「お兄様、まだ憶測の段階だわ。」

「何かあってからでは遅いんだ！」

兄のこんなに真剣な顔は、はじめてだ。それだけ心配してくれているのだろう。

ジークを安心させる為にも兄の提案を聞いておこう。

「はい、分かりました。しばらく休んで様子を見ましょう。その間にアリサ様の行動に監視を付けませんか？学園内は無理でも外での行動だけでも、どうでしょうか？」

「ああ、そうしよう」

「手配は僕に任せて、当てがあるんだ」

わたくしが休むと言ったことでジークの震えは止まった。

うん！これが正解ね。

「ジークわたくし1人だと寂しから会いに来てね」

「もちろん毎日会いに来るよ！」

よかった。ジークに笑顔が戻って。

ユリアとイザベラには兄が伝えてくれることになった。

理由が話せないため風邪を引いたことにして、のちに拗らせて長引いていることにするようだ。

それならお見舞いも断わりやすいだろうと兄の提案で決まった。