第30話

冷静になったユリアとイザベラが話したのはこうだ。


トイレから出た所で、「騒ぐと痛い目に合わせるぞ」3人の男たちに囲まれたそうだ。


怖くて従ってしまったと泣きそうな顔で「シア、ごめんなさい。」と謝ってくるの。

「何言ってるの?巻き込んだのはわたくしよ怖い思いさせて、ごめんなさい」



そして、手足を縛られたわたくし達を傷物にしようとした事を話すなり父、兄、ジークの怒りがとうとう限界を超えたようだ。


父「殺す!」


え?


兄「当然だ!」


兄よ止めろ!同意してどうする!


ジーク「僕に任せて下さい」


ジーク冷静になって!何をするつもりなの?


ユリアとイザベラが真っ青になって震えているわ!


母「先走るのはやめなさい!殿下から詳しい報告があるまで待ちなさい!」


母が1番冷静だったわ!


「殺るならそれからよ!」


え?殺るのは決定なの?

母が1番過激だった。


公爵家の力を使えば1人や2人いや6人か!その人数を証拠も残さず消せるってこと?


あ~消せるかも?


ダメダメ!冷静に冷静に!


「まあ未遂に終わりましたし、わたくしも余裕がなく(あった)少ない攻撃で終わらせる為に彼等の急所を狙ったので無傷ではないでしょうから、もう少し穏便にしてあげてはどうでしょう?わたくしも手加減しなかったので彼等がどうなっているか気にはなりますしね」


彼等のうち2人には男の急所に会心の一撃で蹴りを入れたことは黙っておこう。

相当な痛みだったのだろう。

2人とも泡吹いていたもんな。



手加減なし!の言葉に兄が納得したのか頷いている。


さらにこっちを見てサムズアップ!

やめてくれ!


ユリアとイザベラも現場を見ていたから納得してくれた。


殿下の報告次第だと父とジークは最後まで文句を言っていた。



ジークの帰りを見送る時、キツく抱きしめて「アリーが無事でよかった、何かあったらどんなに謝られても絶対に許せなかった。アリーが鍛えていても心配なんだ。もっと自分を大事にしてお願いだ」


痛いぐらいに伝わってくる。

ジークがわたくしを本当に大切に思ってくれている気持ちが嬉しくなってしまう。


「ありがとうジーク。愛しているわ」


わたくしからジークにキスする。


「でも、わたくしもジークが心配なの。無理はして欲しくないの。今度はジークや兄を狙ってくるかもしれない、そう思うと不安なの。」


「ああゲームの世界では男を手に入れる為に陥れるパターンもあったんだよね?大丈夫だよ僕がアリーを裏切ることはないし、僕はアリーだけを愛しているからね」


ジークが微笑んで優しいキスをしてくる。



ジークを見送ったあとは気持ちを切り替えてユリアとイザベラとパジャマパーティーだ。



まだ袖を通していないパジャマを2人にプレゼントしたの。


ユリアはライオンバージョン(パーカー部分が鬣のようになっている)を、イザベラはひつじバージョン(パーカーの横にクルクルが付いてる)、2人のテンションも爆上がりしたところに、兄がクマバージョンでおやすみの挨拶に来た。



意外にも似合う兄に2人とも歓声をあげた。

「アルフレッド様とても似合っています」

「キャー可愛い~」


2人の絶賛に、普段黙っていたら怖いイメージの兄が照れてふにゃりと笑う姿にユリアもイザベラも真っ赤になってしまった。


分かるよ?兄は確かにイケメンだもんね!



でも兄よ!見せたくて来たんだよね?

そこでポーズも取らなくていいから!

でも、ウチの兄の行動は可愛いわ~



話しに加わろうとする兄を追い出してからは、女の子のお喋りタイムだ。



前世を思い出すわ~

みんな元気かしら?

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