第16話

今日も教室まで送ってくれたの。

別れる時に今日は頭にチュッを忘れずに。



今回も食堂で軽食を用意してもらって3人で中庭の端にあるガゼボに行った。


予め、報告したい事があると伝えていたから2人とも早く教えてと催促してくる。

いざ報告するとなると急に恥ずかしくなるわね。


ジーク兄様と思いが通じ合って両親が領地から帰り次第報告することになると伝えると、「やっとなのね!良かったじゃない!」

「アズール様の気持ちは皆んな分かっていたと思うわよ?シアだけが気づいてなかったのよ?」


え?マジ?

ジーク兄様~バレバレだったみたいですよ~


「だって笑わないアズール様がシアにだけ甘い笑顔だもの」

「シアが自分の気持ちに気づく前から2人の中には入り込めないものがあったわよ」

「だから、アズール様を応援してる人も多かったのよ?」

え~~!なにそれ!

「知らなかったわ」

「じゃ婚約するまではここだけの話ね」

そこからは予鈴が鳴るまでお喋りした。


教室に戻る途中また出た。


それもカイトと腕を組んでるわね。

「ごきげんよう」挨拶だけして絡まれないように早歩きで通り過ぎようとしたのに!

「ごきげんようアリシア様。今日もカイト様と2人でお出掛けしますの」ドヤ顔??

「よかったですね、失礼します」



「ねえ、ナタリー様は何がしたいと思う?」

「分かれば対策できるけど理解できないわ」「そうね、ほっときましょ!」と教室に向かった。


ホント何がしたいのか分からないわね。

見せつけたいとか?

それなら勝手にどうぞ!なんだけどね。



それからも毎日毎日絡まれる。

もうお腹いっぱい!

カイトにも腹が立つ黙って彼女の横にいるだけ!

自分の彼女でしょ?

何とかしなさいよ!





今日学園から帰る頃には両親が視察から帰ってきてると執事のイワンから報告があった。



あのジーク兄様が朝から緊張してるのがわかったわ。

わたくしもちょっとドキドキしてる。




邸に着くと両親がサロンで待っていると聞き、兄とジーク兄様と一緒に向かう。


扉が開くと満面の笑顔でわたくし達を迎えようとした父だったが、わたくしと並ぶジーク兄様を見た瞬間泣き崩れた。

反対に母はニヤッとして、ジーク兄様を見たわ!


とりあえず、両親の前のソファにはジーク兄様とわたくしが、1人用のソファには兄が座ったところで泣いている父の横で母が「ジークやったわね!すぐに婚約の手配をするわ!貴方の両親には話は通っているの?」


「何も問題ありません、もう許可は取っています。」


え?そこまで話が進んでるの?いつの間に?


「明日には書類にサインできるように用意しておくわ」


「すべてお任せして申し訳ございません。よろしくお願いします。」


母とジーク兄様だけでどんどん進むわ。


父よもう泣き止んで?




本当に次の日には両家が揃い婚約が結ばれた。

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