第6話
やっと兄が落ち着いてくれたわ。
こんなに喜んでくれるなら着替え用にもう1着作ろうかしら?
そのまま兄の部屋でお茶をすることになったけど、2人なのに横に座るの。
ああ、そうだった!
これがいつもの定位置だわ。
「シア?2人分の記憶があるのは分かった。殺された記憶を持っていることは辛くないかい?」
優しく頭を撫でてくれる手が気持ちいい。
でも、兄の方が辛そうな顔になっているわよ?
だから「大丈夫ですよ?トラウマも無さそうだし、こんなに優しいお兄様とお父様、お母様がいるもの」
「それならいが、何か困ったことがあればすぐに言うんだよ?」
「はい!」
こんな会話もしたが、兄は前世の世界でのわたくしの話しを聞きたがるの。
わたくしは興味のあることには何でもチャレンジするような子だったこと、取っ組み合いのケンカをしていたこと、キリがないけど話していった。
横で兄が笑ったり、怒ったり、青くなったり表情がクルクル変わるのも面白かったわね。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
アルフレッド視点
ある日、学園から怪我をして帰ってきた妹の表情が変わっていた。
本人はいつも通りにしているつもりかもしれないが、すぐに気づいた。
違和感を感じたのは両親も同じだった。
両親はすぐに思い当たったようだ。
祖母と同じだと。
私たち家族に拒絶される恐怖からか真っ青になり、震えだした。
大事な可愛い妹なんだ。
どんな妹でも受け入れられる。
両親だって同じ気持ちだった。
受け入れられると安心した妹はポロポロと泣きながらも、ゆっくりと前世のことを話し出した。
最初は前世の家族のこと、どんな子供だったか聞くだけでお転婆だったと想像出来た。
学生時代のこと、友人たちのこと、誰からも愛されていたのだと安心した。
だが、死因を聞いて驚いた。
まだ22歳の若さで亡くなったという。
病気なら仕方ないと諦めもつく、しかし現実は刺されたのが原因だと。
22歳だぞ?まだまだ楽しいことや、幸せを経験するはずだったのに無理矢理人生を他人から奪われたんだぞ。
それなのに、私たち家族に出会えて幸せだと言ってくれた。
私もシアの兄として出会えて幸せだよ。
どんな君でも大好きだよ。
前世の性格の方が強く出ているのか、シアはいい意味で変わった。
もともと刺繍はかなりの腕前だったが、【⠀スエット】なるものを作り出した。
貴族の令嬢がとてもじゃないが着るような服ではないが、見るからに動きやすい無駄のない服を着て見せてくれた。
前世では誰もが持っている室内着だと教えてくれた。
私の分もお願いして作ってもらった。
着心地の良さ、動きやすさに感動した。
シアの話す世界は素晴らしい。
想像するだけでワクワクする。
大丈夫だよシア。
お兄様がずっと側にいて守ってあげるからね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます