第44話 夢の中 中
目を疑ったルークは、目をこする。
「え……?」
「どうしたの?」
モカは心配そうにルーテを見る。
「な、なんでもない……」
ルーテは真顔で誤魔化した。
「そう……?」
モカは困ったように肩をすくめながら我が子へ微笑んだ。
ルーテは再び、モカが“あの子”と呼んだ人物の顔を見る。
「ルーテっ!」
喜んで飛びついてきた彼は……。
そう、やはりロニーである。
「ロニー、大きくなったわね」
「お久しぶりです、モカ叔母さん」
「ルーテも来ているわ」
モカの笑顔に、ロニーも明るい顔をする。
「えっと、あの……?」
「ルーテ、しっかりなさいな」
モカは笑って言う。
「姉の息子、つまりあなたの従兄弟じゃない」
「……そうだった!」
ルーテは無理に話を合わせようとする。
不思議と、ロニーはいつも妙なほど親近感があることを今更思い出す。
それがもし、血のつながりがある人物だというのなら……!
ルーテはそう思った。
「久しぶりに会ったわね、ルーテも大きくなって」
「ええ。この子はいつも元気よ」
モカは笑って、姉へと答える。
「そういえば、例のお話だけど……」
「ええ、そのことね。研究も落ち着いてきたところ」
「そうなの……、それは良かった」
モカは笑顔で答える。
母は笑顔の似合う素敵な女性だ……。
ルーテは横顔を盗み見ながらしみじみと思った。
「そろそろ、実験もしていきたいところだけど……」
「姉さん、無理は禁物よ?」
「ええ、分かっているわ」
姉は笑顔で答えた。
「シーナと同じことを言うのね」
「まあ、あの子も……」
モカは驚いたように言った。
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