第1章5話 合同訓練開始! ハプニング発生

第1師団との訓練をした翌日、翔が学校に登校すると黒板に『登校したものから運動着に着替え、グラウンドに集合』と書かれていた。


 「なんだろう。」


翔がそんなことを考えていた直後に悠も登校してきた。


 「翔、おはよう。相変わらず早いな。」


 「なぁ悠、これなんだろう。」


翔が黒板を指さし、悠に聞いた。


 「さぁ?わからん。今日は戦闘スタイルの発表じゃなかった?」


 「だよな、とりあえず着替えるか。」


 「そうだな。」


翔と悠は着替えを済ませ、グランドへと向かった。そこには、普通科の生徒とオペレーター科の生徒の姿があった。


 「普通科だけじゃなくてオペレーター科の人もいるな。なにすんだろうな。」


 「さぁ?とりあえず指示があるまで待ってるか。」


翔たちがグラウンドについて十数分後に普通科とオペレーター科の生徒が全員そろった。その後、教官がやってきて今日の訓練内容を発表した。


 「おはよう。今日の訓練だがオペレーター科の実践練習もかねて、普通科とオペレーター科合同で行う。まず、普通科とオペレーター科でペアを組んでもらう。ペアの組み合わせはこちらで組ませて頂いた。それぞれの端末を確認してくれ。」


学校支給の端末を確認するとペアとなる相手の名前と自分と戦闘スタイルが書かれていた。さらに、普通科の生徒には1人100ポイントがついていた。


 「ペアの名前・戦闘スタイル・ポイントが書かれていることを確認したか。今日の訓練ではそのポイントを競ってもらう。大まかなルールを説明する。細かなルールはそれぞれの端末でペアと一緒に確認をしてくれ。」


教官の言ったルールは5つ


1.フィールドは学校全域と団員・生徒以外の立ち入り禁止区域 制限時間は6時間

2.魔物想定の戦闘ロボットを倒すとポイントを獲得 

  獣型が6ポイント・人型が10ポイント・人獣型が50ポイント

3.他のペアと手を組むことも可能 

  協力して倒した場合ポイントを倒した人数で割ったポイント得る

4.近距離タイプ、中・遠距離タイプの武器はフィールド内にある武器限定

  訓練開始後に自ら調達すること

5.戦闘ロボットからの攻撃をまともに食らったら-10ポイント0になった地点で

  リタイヤ


 「それでは、30分後に訓練を開始する。時間内に作戦を立てオペレーター科は用意された個別のオペレーター室に行くこと。それでは解散。」


教官の言葉の後、皆自分のペアを探し作戦を立て始めた。翔と悠もそれぞれのペアを見つけ急いで作戦を立てる。


 「初めまして、夜岸悠です。悠でいいよ。」


 「は、はじめまして、三枝千秋さえぐさちあきです。お、お願いします。」


悠のペアは小柄で引っ込み思案な女の子だった。


 「あ、あの私。1年の中で成績はビリであまり役に立てないかもしれません。」


 「大丈夫だよ、オペレーターの基礎を忘れたわけではないでしょ。だったら何とかなるよ。」


千秋は胸をなでおろした。かなり緊張していたのだろう。


 「とりあえず、作戦を立てよ時間がないからね。俺の考えだけどひとまずは誰とも組まずに行こうと思う。」


 「えっ?なんでですか。他の誰かと組んだ方が戦闘ロボットを倒しやすいと思うんですが。」


 「俺ら目線で言ったらそれが正解。でも、今回は俺らの戦闘訓練よりオペレーターの実践練習のほうが割合が多いと思う。だから多分、イレギュラーが起きる。教官達は対応力を見たいと思うからね。仮にそうなったとき戦闘員が複数人いたら戦闘員とオペレーター、後オペレーター同士の意思疎通がとりにくいからね。その状況はできるだけ避けたい。」


 「なるほど。確かにもしもの時の柔軟な対応が重要って教官は言ってましたから、何かは起きそうですものね。」


 「どんなイレギュラーが起きるかはわからないから端末のほうでも連絡を取れるようにしておこう。」


 「わかりました。」


 「後2つだけ、最初に狙うのは獣型ではなくて人型だ。」


 「?なんでですか。獣型は基本群れだからポイントも稼ぎやすいのに。」


 「確かにポイントは稼ぎやすいけど、それは獣型だけの場合だ。人型が混じるとどんな動きをするか予想しにくくなる。だから、先に人型を処理する。そうしたらある程度動きやすくなる。」


 「わかりました。サポートします。」


 「うんお願い。何かあったら遠慮なく俺に言って、ペアの場合片方が迷い動揺するともう片方にもその動揺は伝わる。だから迷いそうになったら相談してもちろん俺もそうするし、頼らせてもう。」


 「わかりました。」


千秋は悠をまっすぐ見つめ答えた。一方、翔はペアとなった姉崎京子あねざききょうこと少し口論になっていた。


 「だから、もうちょっと具体的な作戦を立てようよ。いくら何でも作戦がアバウトすぎるよ。」


 「も―いいじゃない、翔っちがはロボットをかりまくって何かあったらうちが臨機応変に対応するこれ以外ないでしょ。大丈夫翔っちは実技1位だったんでしょ。何とかなるよ。」


京子の楽観的な作戦に翔はかなり戸惑っていた。そうこうしているうちに訓練開始時間が近づき、放送が鳴った。

『訓練開始5分前になった。オペレーターは個別オペレーター室へ行き、普通科生徒は散らばるように』


 「それじゃあ千秋さんお願いね。」


 「はい、悠さんも頑張ってください。」


 「じゃあ行くね。翔っちガンガン倒しちゃって。」


 「はいはい何かあったら言ってよ姉崎さん。」


全てのオペレーターがオペレーター室に入ったところで時間になった。


 『それでは合同訓練始め!』


悠は合図とともに武器がありそうな建物内に行こうとした時、端末に千秋から連絡がきた。訓練中はオペレーター室から無線で話せるため、端末に連絡が来るのは緊急の時以外ないはずだった。


 「もしもし、千秋さんどうした。」


 「悠さんおかしいです。オペレーター室のパソコンや機器の電源が入りません。」


 「なんだって!」


 「一応端末はつながるので端末からかけました。」


悠はイレギュラーがこんなに早く来るとは思ってなかったため驚きを隠せなかった。機器が付かない原因として1つの可能性が浮上した。


 「千秋さんオペレーター室の機械類ってどこで一括管理しているかわかる?」


 「えっ?確かオペレーター科の棟の地下にある制御室だったと思います。」


 「可能性だけどその制御室に戦闘ロボットが潜入しるんだと思う。学校側の壊すような設定をしてないと思うから何らかの不具合を起こさせる奴だと思う。」


 「それって、その戦闘ロボットを倒さないと・・」


 「あぁ。オペレーターが機能しなくなる。作戦変更だ、まずそいつを叩く。俺は使える武器を拾って制御室に行く。千秋さんはオペレーター科の棟の地図と制御室までの最短ルートを送ってくれ。少し距離があるから落ち着いて。」


悠はすぐに少し離れたオペレーター科の棟のへと走っていった。


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