奪われし者の強き刃

ゆうさん

第1章　始まりと正体

今から15年前ー－－

科学者の薊万作（あざみまんさく）の禁忌を犯した実験により、人ならざるものを呼び起こし、この世とそれらの世界を繋げてしまった。

これにより、ユーラシア大陸以外の大陸が飲み込まれ、世界総人口の4割の人が死亡もしくは行方不明になった。残った国は、軍事力を総動員させ、なんとか侵攻を食い止めた。しかし、総動員の代償も大きく多くの人が亡くなった。

侵攻を食い止めた日の夜、ある1匹の魔物が残っている領土へと侵入してきた。だが、その魔物は予想外の提案をしてきた。

　「我ハコノ侵攻ニ反対ダッタ。モシ信ジテクレルナラ、魔物ノ世界ノ情報ト選バレタ数人ノ人間ニ人智ヲ超エタ力ヲ与エヨウ。」

各代表たちは数時間の会議の末、魔物の提案を受け入れることにした。その旨を伝えると、その魔物は

　「承知シタ。デハマズ、数人ニ人智ヲ超エタ力ヲ与エヨウ。」

すると、魔物は自身の掌から10本の光を散り散りに放った。

　「10人ニ力ヲ渡シタ。コノ力ヲドウ使ウカハソイツラ次第ダ。」

残った国の各代表たちはすぐに力を与えられた10人を探し出し、これからの侵攻の対策をすべくある組織を立ち上げた。

特殊退魔部隊SRMG師団 (Special　Repelling Monsters group）である。その10人を師団の師団長に任命した。この組織の立ち上げに伴い、代表たちは、残っている敷地を5つの地域に分け1つの地域に師団を2師団づつおき、防衛に当たることにした。その魔物の情報をもとに残っている領地の防衛、侵食された領地の奪還を目標に動き出した。

現在ー－－

あの侵攻以降、以前のような世界中を巻き込む大きな侵攻はなく昔のような生活を徐々に取り戻していた。

SRMG師団に入団することに誰もが憧れるようになっていた頃、ある1人の少年が新たな学校生活に胸を膨らませていた。