第3話 反撃と提案

白金グループに営業のアポイントメントを取り、営業日当日俺は営業部長とともに白金グループがあるビルへと向かった。


 「準備は大丈夫ですか?」


 「はい社長、整っております。」


 「では、行きましょうか。」


ビルへと入ると何やらエントランスで揉めていた。


 「おいおい、元最重要営業先を蔑ろにするのか?早く社長に会わせろよ。」


 「ですから、これから社長はお客様との面談があるのでお会いできません。」


 「そんな呑気な事を言っててもいいの?このままだと倒産しちゃうよ。」


恐らくは池崎の親父さんだろう。テレビで何度の見た事があるため間違いない。社長がこんなところで何してるのだろうと思っていたら


 「社長そろそろお時間です。」


営業の時間になったから急いで受付をした。


 「すみません、本日アポイントメントをとっていた株式会社ツバメです。」


 「ツバメ様ですね。お待ちしておりました。社長室へご案内いたします。」


受付を済ませ、社長室へ行こうとしたとき池崎の親父さんが絡んできた。


 「おい、何俺を置いていこうとしてるんだよ。俺が先に来たんだから俺からだろうが。」


何年社会人やってるんだろうと思わせるほどの屁理屈を言ってきたので


 「私たちは数日前よりアポイントメントをとって来ています。もうすぐ時間なので失礼します。」


 「それと、これは警告ですが。周りにばっかり構っていると足元すくわれますよ。」


そういうと、池崎の親父さんは機嫌悪そうに帰っていった。本当になにしに来たのだろうか。


受付の方に社長室に通され、


 「はじめまして、株式会社ツバメの神無と申します。」


 「これはご丁寧にどうも、白金グループ代表取締役社長の白金朝人しろがねあさとです。こちらは経営部のみなとです。」


 「失礼ですがかなりお若く見えますが、おいくつでいらっしゃいますか?」


 「はい、今年で18になります。」


 「18歳!そのような若さで会社を立ち上げて成長させるとは御見それしました。失礼、営業に来たのですよね。お話を聞きましょう。」


 「「よろしくお願いします。」」


そして、営業が開始された。


 「成程、確かにこれなら今まで以上の宣伝効果が得られそうですね。湊君はどう思う?」


 「はい、社長の言う通りですね。我々はネットでの広告効果が弱かったですからこれならいけそうです。」


 「是非とも御社と取引させていただきたい。」


 「ありがとうございます。今後ともよろしくお願いいたします。」


 「こちらこそよろしくお願いします。」


営業はうまくいき、肩の荷が下りた。


 「うまくいきましたね社長。」


 「えぇ、資料などの準備ありがとうございました。あの資料のおかげでうまくいきました。」


 「お役に立ててよかったです。」


その後、白金グループとの取引はうまくいき、白金グループは今までの勢いを取り戻しヒット商品を連発。うちは業界最大手と呼ばれるまで成長した。学校では今まで元気がなかった白金も元気になっていき俺にウザがらみするまでに回復した。


 「やっほー睦月君。なんかパパの会社新しい取引先のおかげで回復したよ。これで池崎君と付き合わなくてよくなったよ。」


 「そうかい、よかったな。そんなに池崎と付き合いたくなかったのか。」


 「そりゃそうだよ。好きでもない人と付き合いたくないよ。」


 「そりゃそうか。」


池崎の親父さんの会社は業務の雑さと社長のパワハラなどが世間に露店してしまい、倒産寸前まで追いやられてしまったらしい。池崎自身もその影響かすっかりおとなしくなり、今までの性格の悪さから誰も寄ってこなくなった。だが、白金のことは諦めていないらしくいまだに猛アプローチを続けている。


 「なんで諦めてくれないんだろう池崎君。」


 「それだけ好きなんじゃない。」


 「そうかもしれないけど、私好きな人いるのに。」


 「へー。」


適当に返事をしていたら


 「ねぇ気になる?気になるでしょ。」


 「別に白金が誰を好きになろうが関係ないよ。」


 「本当に他人に興味ないね。」


 「そういう生き方してきたしね。」


白金が何か言いたそうにこっちを見ていたがチャイムが鳴ったからすぐに教室に戻った。


後日、白金社長からお話しをしたいことがあるとのことで白金グループの本社に呼び出された。


 「お久しぶりです、白金社長。」


 「おぉ、神無社長。急に呼び出して申し訳ございません。」


 「いえ、繁忙期でもないので大丈夫ですよ。それでお話とは何でしょうか?」


 「そうでしたね。まずはお掛けください。」


すると、突然白金社長は真剣な面持ちで


 「まずは、お礼を申し上げます。御社のおかげで我が社は立て直しができました。ありがとうございます。」


 「いえ、御社の商品が一級品だからですよ。我々は宣伝しただけですので。」


 「今回で宣伝の重要性を改めて理解できました。それと、あなたにお礼を言いたい人がいるのですがいいですか?」


 「はい、大丈夫ですよ。」


 「ありがとうございます。入りなさい。」


そして、扉から入ってきたのは白金梓だった。


 「え?睦月君?」


 「白金、そういえばなんか婚約させられそうって言ってたな。」


 「なんだ梓、神無社長とお知り合いだったのか。」


 「うん、高校の同じクラス。って社長!」


 「睦月君って社長なの?」


 「なんだ知らなかったのか。お話ししてなかったのですか?」


 「変な目で見られるのが嫌だったので隠していました。」


まさかこんなところでばれるとは思わなかった。


 「えっと、睦月君。」


 「ありがとうね。学校でも言ったけどあのままだったら池崎君と婚約させられそうで嫌だったから。」


 「別に話聞いて何もしないのは俺が嫌だっただけだし、会社も大きくしたかったしね。まぁ後は白金に少し恩返ししたかったし。」


 「え?」


 「俺は他人に興味ないし、学校は楽しくなくてもいいと思ってたけどお前が毎日めげずに話しかけてくれたから少しは楽しかったよ。そんなお前が困ってたんだ。手を貸せるのなら貸すのが筋だろ。」


自分で言った言葉に気恥しくなった。


 「とにかく俺がしたくてしかことだから気にするな。後、このことは内緒な。」


 「うん、わかった。」


白金は頬を赤く染めながら返事をした。すると、白金社長が突然


 「君たち婚約するか?」

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