色づくはずなかったのに
ゆうさん
第1話 醜い嫉妬
俺の親父はいつも口癖のように
「いいか
俺は、親父のこの言葉があまり好きじゃなかった。必要以上に人と関わりたくないし、最初から失敗しないように考えて動けばいいと思っていた。俺は高校でも友達と呼べる人はほとんどいなし、クラスの人からは嫌われている。だが、他人と関わりたがらない俺にとってはちょうどいい。むしろ心地いいまであった。
あいつが転校してくるまでは
「今日も眠そうね。睦月君。」
「白金・・・毎度毎度言ってるだろ俺に話しかけるな。」
「えー?だって私が話しかけないと1日話さないなんてあるでしょ。だったら私が話しかけてあげようと思って、うれしいでしょ。」
俺に話しかけてきたこの女子生徒は
「いいから戻れ。」
「はーい。」
「おい、
白金が自分の席に戻った瞬間、クラスの男子生徒がすごい形相でこちらに詰め寄り
「お前、白金ちゃんに話しかけられているからって調子乗るなよ。お前なんてお情けで話しかけられているに決まっているのだからな。」
正直、どうでもいいと思った。男の嫉妬は醜いって聞いたことがあったがここまでとは思ってなかった。
「わかったよ。それより先生がこっち睨んでいるぞ。いいのか。」
「ちっ。」
男子生徒たちは舌打ちしながら戻っていった。後ろの席では女子生徒たちが陰口を言っているのが聞こえた。『きもい』や『調子に乗ってる』とでも言っているのだろう。
そして、昼休みになりいつものように屋上につながる階段でご飯を食べようとした時
「あっいたー。こんなところでご飯って寂しくない?」
「いいんだよ。それよりお前こそこんなところいてもいいのかよ。今頃クラスのやつら探してるんじゃないか?」
「いいんだよ。みんなしつこいし、男子なんて変な目で見るし。」
確かに、白金は高校生とは思えないほどのスタイルの良さをしている。性格もいいほうだから モテるのは必然だろう。
「何?まさか、睦月君も変な目で変態。」
「誰がそんな目で見るか。お前をそんな目で見たら誰かに消されそうで怖いわ。」
「何それ?そういえば睦月君はどんな子がタイプなの?」
「また急だな。まぁいいや。そうだな、常識があって一途な子かな。」
そしたら、白金は急に下を向き、何かぶつぶつ言っていた。
「なるほど、常識があって一途な子か。」
「白金?どうかしたか?」
「ううん、なんでもない。睦月君って彼女いるの?」
さっきからなぜそんなことを聞くのか疑問に思ったが
「いないよ。クラスメイトから嫌われているのに彼女なんているわけがないでしょ。」
「そっか、いないだ。」
白金はまた何かぶつぶつ言っていた。そうこうしていると、昼休みの終わりのチャイムがなった。
「もう終わりかよ。白金戻るぞ。」
「あっうん、待って。」
白金は残っていた弁当を急いで食べて教室へと戻っていった。教室に戻ると、再びクラスの男子たちが俺に詰め寄ってきた。
「おい神無お前まさか白金ちゃんと昼食をとったんじゃないだろうな。」
「そうだけど。」
「今朝言ったばかりだぞ、『調子にのるな』ってな。なのになぜ一緒に昼食をとっている。」
この今朝から俺に詰め寄っている
「悪かったよ。今度から見つからないようにするよ。」
「その言葉忘れないからな。白金ちゃんは俺と付き合うんだからな。」
そして放課後、特に部活に入ってない俺は足早に家へ帰ろうとした時、白金に呼び止められた。
「睦月君一緒に帰ろ。」
「白金、お前他の友達と帰れよ。いっぱいいるだろ。」
「睦月君と帰りたいの。あの子たち睦月君の悪口とか他の子の嫌味しか言わないんだもん。一緒にいて疲れる。」
「大変だな。」
「睦月君ってなんで悪口言われているのに平気なの?私なら閉じこもっちゃいそう。」
白金は純粋な目をして聞いてきた。
「別に、他人に興味がないだけだよ。特にしょうもない事言う人はね。それにオフの時になに言われても気にしないし。」
「オフ?どういうこと?」
「なんでもない、こっちの話。とにかくあいつらに興味がないの。いちいち全部真摯に受け取ってたらストレスで死んじゃうよ。」
「じゃあこの後用事あるから帰る。おとなしくお迎えでも呼べよ。」
「ちょっと・・」
白金と別れた後、俺はある場所に電話をかけた。
「もしもし俺だ。学校終わったから今から向かう。1時間後に始めるから準備しててくれ。」
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