第26話 2マップ目へ

「疲れたあ」


 僕はそう零してしまった。


「ふふ」

「あはは」

「ルート君、まだ一戦目だよ?あはは」

「ん。十分ぐらいあるから休憩してね」


「はい、休みますー。ちょっと僕離席しますね」

「はーい」

「ん」


 僕は車椅子を押して部屋を出た。頭を休めるため、甘いものを食べよう。あと、のどが渇いたし、水を取りに行こう。


 __________


「ただいまですー」

「おかえり」

「ん。ルート、次どっちがいい?」

「攻めか守りかな?」

「ん」

「アイスのところだから、攻めが有利か。うーん、でもなあ」

「ん?どうした」

「攻め有利だから、守りでスナイパーを温めたいけどな」

「じゃあ、守りでいいよ」

「ありがとう、花蓮」

「ただいまー。どっちになった?」

「みんなも守りからでいい?」

「うん」

「大丈夫」


「てか、次どうしようね」

「確かにここで勝たないときついね」

「そうだけどね」

「花蓮もスナイパー持つ?」

「ダブルスナイパーか。私よりキラトがいいかも」

「僕はスナイパー苦手だからな」

「うーん、なら2人でスナイパーはむずそう」


 2人でスナイパー持てば強そうだったけどな。仕方がない、もう1つの作戦を___


 __________


 2マップ目がスタートした。

 このマップは雪景色と高低差がある建物が特徴的だ。そして、スナイパーがよく刺さるマップでもある。つまり、僕の見せ場だ。


 __ああ、もちろん。絶対外さない。


 僕たちの作戦は、センターやミッドを完全に塞ぎ、サイトを前目で守る。時間を使わせない。相手の攻めを僕たちが制限する。あとは


「ラスト……。倒した」

「ナイスー」

「5対5までラウンド取れているね。十分だね」

「ん。ルートも一発しか外してない。攻めいける」

「流石にミッド厚くなってきたから。ローテしますか」

「なんなら3人でプッシュする?」

「Bメインかな。Aをレナ、キラトで、ミッド開ける」

「了解」

「僕右奥覗くので。二人で前を詰めて」

「ん」


「ここまで取れたね」

「Aもあんまアクションない」

「詰め待ちかな。3人で……ルートから」

「うん、僕が出てから二人出て。せーの。1枚抜いた。詰め待ちしている!」

「僕たちも詰め切ろう」

「花蓮さん、俺死んだ。今1人」

「あっ。グレで手前押さえた。結構ロー」

「二2人とも下がって時間少ない。多分こっちくる」

「あと2人。ゆっくりやろう」

「……来た」


 また僕は息を止める。僕の耳は何も聞こえない。でも目と手は連動していた。落ち着いて、撃ち抜く!


「2枚抜き!?ナイス」

「ナイス!」

「神プレーすぎ!」

「やったあ。倒せたあ」


 たまたま、二人同時に倒したが、なんとか勝てた。

 __まだまだ、外さない。


 前半戦、僕たちの守りが終わった。ラウンドは7:5だ。そして、このマップは攻めが有利だ。つまり、戦況的にも僕たちがリードしている。


 このまま、逃げ切ろう。


「Bラッシュする?」

「ん」

「全力で前行くから花蓮ついてきて」

「僕たちはそのカバーをするね」

「よろしく」


「手前__」

「やった」

「うっ。ナイスカバー」

「このままいく」

「レナ、設置して」

「できた。引くね」

「花蓮、このまま前で守り切る」

「……全員CTかも。1人……2人やった……」

「TPして。下がるよ」

「イエロー側1人いった」

「やった。次解除音で全員出るよ」

「……鳴った、せーの」

「あとローな敵」

「ナイス!」


 __________


 そして、僕たちは____


「ラストだから。落ち着いて」

「うん、僕が最初に撃ち合うから」

「……」


 静寂中、敵の閃光が視界に入る。僕は咄嗟に避ける。視界が覚め、目の前の敵を撃ち抜く。


「勝った!」

「ナイス!」

「ナイス!!」

「ん。ナイスチーム」


 二マップ目は、僕たちの勝ちだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る