第2章

第8話 初コラボです!

「………………………………………………準備できました」

「ん。できた」

「……………………えっと、自己紹介でもしますか?」

「ん」

「こほん。えっと、初めましてー、Hello、ルートです。よろしくお願いします!」

花蓮かれんです。よろしく」

「お願いします。今回はValコラボということです」

「ん」


 はっきり言って気まずい雰囲気の中、配信が始まった。初コラボで何をすべきかわからず、手探り状態だ。上手くいくか不安だが、頑張ろう。


 :ハロー

 :初コラボおめ

 :気まずそうで草


「……早速やりましょうか?」

「あ」

「どうかしました?」

「ん。みんな、ルート、私の弟子ね」

「え。…………あ。コーチングしていただける話ですか?」

「うん、だから弟子」

「あ、そうですね。師匠、こちらこそよろしくお願いします!」

「ん」


 :おめでとう

 :コーチング楽しむ

 :てか世界五位かすごいな


「じゃあ早速やりますか。どっちでやります?」

「カジュアル」

「はーい。てか今更ですが、世界ランカーの花蓮さんとやっていいのですか?」

「いいじゃない?君うまいし」

「そうですか?ありがとうございます」


 今回コラボを持ちかけてくれた花蓮さんはValの世界ランキング5位の方だ。とてもすごい方に声をかけてもらった。

 まあここだけの話、実は俺も声をかけるか迷っていた時があった。なぜならVtuberではないが、デビューした日がほぼ同じだったからだ。また、登録者や同接、ジャンルなどほぼ同じである。実質同期だ。

 そんな縁で今回このコラボができた。


「俺、コラボ始めてで何すればいいかわかんない」

「私も」


 :なんか初々しい

 :がんばれ

 :少しずつ喋ろ


「さて、何ピックします?」

「攻撃」

「花蓮さんと言えば、攻撃ですよね。それなら、索敵にしようかな」

「うん。よろ」

「頑張ります」


 __________


「あー、すっごい。ナイス!」

「ナイス、リコン」

「うん、あー。もう30キルですね」


 :すごい

 :うまー

 :すげー


「まだ後半入ったばっかりですよね?強すぎ」

「ん。これでも世界5位」

「あはは。レベルが違います」


 :花蓮さんのとこから来ました。配信止まってるって伝えてほしいです。

 :ルート君、気づいてー


「あ、花蓮さん配信止まっているらしいです。コメントに来てますー」

「ん。ん?どうだっけ」

「大丈夫ですか?」

「わかんない」

「そうですか。とりあえず試合を終わったからにしますか」

「ん。早くする」


 文字の通り、花蓮さんが無双しまくり、試合が一瞬で終わった。うん、本気じゃなかったみたい。こわあい。

 今は配信を直すために、がんばっているところだ。


「それはですねー。一回、配信アプリを再起してから、キャプチャーすれば行けると思います。」

「ごめんね」

「いえいえ。大丈夫ですよー。だめだったら、うちの配信に来てもらいましょう」

「ん。どう?」

「うー、できてないですね。あ、マイクはできているので。えーっと、ウィンドで表示したら、どうですか?」

「えーっと、ん。これで」

「あ、できてます」

「よかった。ありがとう」

「いえいえ」


 :ナイス解決

 :冷静だねー

 :博識

 :ありがとうございました。


「よし、再開しましょうか。」

「ん。」


 __________


 ちょっとした放送事故があったが、このあともカジュアルをたくさん楽しんだ。相変わらず、花蓮さんが蹴散らしていたが……。また、花蓮さんと話をして、少しは仲良くなれた気がする。


「今日はこの辺で。次はコーチングよろしくお願いします」

「ん。弟子を育てます」

「それではお疲れ様でした!」

「またね」


 __________


「配信終わりましたー」

「ん。終わった。ありがとう、教えてくれて」

「直ってなによりです。あれから大丈夫ですか?」

「少し止まる」

「そうですか。よかったら見せてもらえますか?」

「ん。どう」

「ありがとうございます。うーん、そっちのタブ見せてください。」

「ん」

「で、そこの設定で___」


 俺はそこそこパソコンに詳しい。大体の事を解決できると自負している。これからValを教えてもらうので少しでも恩返しできるように配信を手助けしたい。そう思い、色々試してみた。


「これでどうですか?」

「おー。滑らかに動く」

「よかったです」

「ありがとう」

「いえいえ。これから俺が教えてもらうので」

「うん。私ぐらいにする」

「あはは、花蓮さんみたいになれるように頑張ります。」

「ん、あと敬語なし。花蓮でいい」

「敬語ですかー。確かに同期ですもんね。慣れないけど少しずつしていく」

「ん」


 僕からしたら確実に年上なので敬語すべきだと思っていた。これから、コーチングでもっと関わっていくので、敬語をなくし仲良くなりたい。少しずつでも意識していこう。


「よし、次いつやる?」

「明日、どう?」

「明日はー。昼からできる」

「じゃあ昼からで」

「はい。あとは……明日でいいよね?」

「ん。また明日」

「また明日ね」


 _________

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る