「ふわふわになれるからアルコールが好き」

そんな風に言う彼女の腕には、傷がある

特にメンヘラでもない普通の子なのに

彼女の腕には、傷がある

「長く生きる気はないから構わないの」

そんな風に言いながら彼女はタバコを薫（くゆ）らせる

特に不幸を背負ってる風でもない普通の子なのに

彼女は笑ってタバコを吸う

きっと見た目ほど、生きることは簡単ではないのだ

だから僕は口を閉ざした

ただ一緒にいて、小さく頷くだけだ

「もうしんどいからサヨナラしようと思うの」

そんな風に簡単なメッセージを残して彼女は消えた

特に事件があったとは聞いてないのだけれど

彼女は煙のように消えてしまったのだ

なんと言えばよかった？

繋ぎ止めるにはどうすればよかった？

あなたに、そこにいてほしい

僕はそんな簡単な言葉すら

伝えることが出来なかったんだ

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