二章
第49話 テスト前日
あれから一週間が過ぎて、いよいよ明日から期末試験が始まる。
推薦を受けたい俺にとっては、大事な試験だ。
なにせ、受験勉強をしたら小説を書くどころではない。
なので、この一週間は勉強に集中した。
葉月と放課後の図書館で勉強したり、何故か佐々木君に勉強を教わったり……。
実は佐々木君はめちゃくちゃ頭が良かった。
ほんと、見かけで判断しちゃいけないよなぁ。
そして、友達と勉強などする機会がなかった俺は、楽しかった。
何より良かったのは、俺が葉月を好きなのがばれてないということだ。
どうやら、三浦君は黙っていてくれたらしい……意外と義理堅い?
ただ、困ったことがある……安心したからか、少し気が抜けた。
もう、このままの関係でも良いと思えるくらいに。
……いや、また日和そうになったな……しっかりしろ、俺。
そんな中、今日は佐々木君と一緒にファミレスに来る。
葉月は妹のお迎えなので、二人きりである。
というより、葉月といる時は、基本的に近寄ってこない。
俺が葉月を好きだと知ってるからだけど、意外と気遣いさんということも分かった。
「試験前日だってのに、大変だな」
「そうだよね。あれ? そういや、妹さんって幾つなの?」
放課後、一緒にいるわけではないし、昼休みもそうだ。
連絡先を交換したけど、あの日のお礼のラインくらいしか来てない。
それが、逆に心地良かったりする。
俺も連絡下手な部分があるし。
「あん? ああ、言ってなかったか。今、小学五年生だ」
「それなら、ある程度は平気だね」
十一歳ともなれば、そこそこのことはできるし理解がある。
俺自身も、そのくらいから家事とかできるようになったし。
「ああ、むしろ俺が世話になってるくらいだ。最近では、弁当作りにも挑戦したりしてるし」
「おおっ、凄いね」
「そういや、野崎にお礼が言いたいとか言ってたな」
「いやいや、別に大したことしてないから。代わりに買っただけだし」
「いや、俺だけじゃ買えなかったぜ。まあ、今度機会があったら会ってくれ」
「んー……わかった」
小学生の女の子に会って、何話して良いかわからないけど……まあ、一言二言なら平気か。
「言っておくが、手を出したら殺すぞ?」
「えぇ……いやいや、相手は小学生だし」
「なんだ、俺の妹がダメだって言うのか?」
「いや、目付き怖いから。というか、俺の好きな人知ってるでしょ?」
「それとこれとは別だ」
……もう一つわかった。
どうやら、佐々木君はシスコンのようです。
その後、勉強に集中して……。
「うし、こんなもんでいいだろ」
「いや、助かったよ」
わからない部分は、佐々木君に聞けば大体わかったし。
これで、明日からの試験もばっちしだ。
会計を済ませ、二人で店を出る。
「気にするな。これで礼が返せるなら安いもんだ。んで、テスト終わったらどうするんだ?」
「えっと……どうするとは?」
「あん? いや、好きなんだろ?」
「ま、まあ……」
流石に、小説を書いてることは言ってない。
なので、ラブコメイベントの話とかはできないし……。
「おいおい。そんなんじゃ、すぐに夏休みになっちまうぜ?」
「夏休み……」
「夏休みといえば、イベントもいっぱいあんだろ? それを口実に誘ったら良いんじゃねえの? 花火とか、プールとか」
「確かに……」
そんなの、ラブコメイベントのオンパレードじゃないか。
是非とも、体験したい……というか、葉月と一緒に行ってみたい。
「言っておくが、待ってると女の子が来るなんてのは幻想だからな? それは、一部の人間だけだ」
「ぐっ……はい、その通りです」
「なら良い。テスト明けにでも、さっさと誘うんだな」
夏休みかぁ……全然、考えてなかった。
今までは、ずっと一人ぼっちだったし。
放課後のラブコメイベントも大事だけど……。
それを口実にすれば、夏休みに入っても葉月に会える?
……我ながら、なんとも情けない。
~あとがき~
みなさま、おはようございます(((o(*゚▽゚*)o)))
おませたしましたが、二章の開始となります。
体調と仕事と相談ですが、出来るだけ毎日更新を心がけるのでよろしくお願いいたします。
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