確かめのカメ

仲仁へび(旧:離久)

第1話



 動物村の見回りを、のんびりなカメが行っている。


 そのカメは心配性だから、自分で安全を確認しないと気が済まない。


 どんな事でも、確かめ。

 どんな場所でも、確かめ。


 万が一を想定して。

 細かい事もチェックしていく。


 他の同僚の動物達は、さぼっている事もあるけれど。


 カメは決して手を抜いたりはしない。


 岩の隙間も、確かめ。

 木の影も、確かめ。


 村に入ってくる動物を、確かめ。

 村から出ていくいく動物を、確かめ。


 けれど、カメの時間はゆっくりだから。


 確かめるだけで一日があっという間。


「それじゃ、自分の時間がもてないだろう」


 他の動物はそう言うけれど。


「大丈夫さ。もうこれが趣味のようなものだからね」


 カメはそう言って、毎日見回り続けている。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

確かめのカメ 仲仁へび(旧:離久) @howaito3032

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ