たのしくいきる

@atonashi

一会

第1話はじまり

 その日は、いつも通りの日々と変わらない一日だった。

ただ過ぎていく毎日を無難にやり過ごし、気付けば40代。無気力に、怠惰に、問題が起きないように、さり気なくその日を乗り切る。


 若い時に持っていた勢いや、思いも、今や見る影もない。言い訳をさせてもらえるなら、虚勢はあるのだ。体裁と言う名の。そう「側」だけだ。


 中身がスカスカなのだ。掌からこぼれ落ち何も残っていなかった。薄っぺらい書割を思い浮かべればいい。映写機やプロジェクターでもいい。


 平面に映し出された何か。彩度はあれど、調子のおかしい何か。


この時までは。

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