第99話
にしても、なんでニーサは今回の強行軍に至ったのかが判明していなかった。
広間の隅でうつ伏せになり、魔法で出してもらった氷で尻を冷やすニーサに聞いてみる事にした。
酷く怯えられたが、それは後ろに控えていたノエールのせいだと思いたい。
「どうしてもお金が必要だったからよ。
教会にだって表に出せない資金があるの、私はトーラ様って勝馬に乗って出世したかったの。」
至極分かり易い理由だったが、手段がいただけなかった。
洗脳された軍隊長の独断専行、都合よくニーサと合流なんて上手くできすぎている。
それと最初から流れていた、村に捕らえられている男の話は何処から出た噂だったのか。
「私に話を持ちかけてきた女は、そこの女…アドリアネ様と同じ力を持っていたぞ。」
「ほう、私と同じ力ですか。
私の能力はオリジナルなので、わざわざ寄せてきたと考えるのが打倒ですね。」
ワザと見せつける為に力を使用した、この言葉の後からアドリアネは少し居住まいを正した。
「ではトーラにかけられていた無駄に高度な呪術も、そちらの線からと考えた方が自然ですね。」
トーラさんに呪いがかけられていたことをニーサは初めて知った様だ、あまりの衝撃に開いた口が塞がらない。
黒幕的にはニーサの思惑がどうなろうと興味がないらしい、いよいよ目的が見えてこない。
「話は戻るけど、ニーサはどうしてお金が必要なんだ?
力になれるか分からないが、話を聞かせて欲しい。」
小賢しく上目遣いで聞いてみる、この世界ではあざとい小技も効果抜群だ。
けどあまり使いすぎると、アドリアネに釘を刺されてしまうから注意だ。
「私の友人が病に臥せって、もう半年になる。
病気の進行を阻むだけでも、私の資産を容易に上回る額だったよ。」
「ならもう解決しましたね、綾人さんがいれは解決です。
病に臥せったタイミングも怪しいですね、もしかしたら呪いの可能性もありますよ。」
呪いが原因ならトーラさんと同じくマッサージでどうにかなるだろう、魔力に関わる病でも治した実績はある。
それにしても黒幕は入念な準備をしていたことが分かる、どこまでが計画だったのだろう。
治療する為に、エルフの里に行く必要がある。
エルフは外部との交流を全て教会に委ねているらしく、里への出入りも教会の意向次第なのだ。
幸い教会のトップはこちらに居るので、自由に出入りできることになっている。
「まさか綾人様を故郷へ案内する事になるなんて考えてもいませんでしたの。
それも過ちを犯したニーサの為に、なんて慈悲深いですの!」
いや黒幕の目的が定かでない今、こちらの都合に巻き込んでしまった可能性も大いにある、贖罪という名目も少なからずあるのだ。
「事後処理も残っていますが、先に治療したほうが綾人さんの精神衛生の上もよろしいかと。」
相棒には見透かされているみたいで、頭が上がらないよ。
それにしても初めての村の外への進出だな、まだこの世界の常識を把握しきれてないが大丈夫だろうか。
アドリアネもたまーにズレたことするから安心できない、ノエールも同行してくれるらしいが、こっちはこっちで信用ならない。
PS、コロナになりました、明日の更新は未定となります。
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