第98話
sideダミアナ
まさか呪術が跳ね返って来るとは思いませんでした、エルフ相手に無駄に高度な呪いをかけたのに何処でバレたんでしょう?
カウンターの傍に置いていた身代わり人形に、呪印が刻まれて崩れ落ちます。
あの技術の発展していない世界で誰が解呪できたか、きっと召喚された天使が関係しているに違いないです。
「あーあ、この人形作るの大変だったんですけどねー。
無駄に材料が多いですし、そのくせ使用用途も限られていますしー。」
もう呪術の残滓も感じられない、そもそも教会に潜入してあの司教に呪いをかけるのも苦労しました。
別にバレても一掃して帰れば良いのですが、他宗教の総本山で暴れては確実にペローナ様に怒られてしまいます。
ていうか呪いをかけたこともバレたら不味いんですけどねー。
「うーん、考えれば考えるほどムカついてきましたねー。
私以外に呪術に精通した天使がいるとは…。」
出会い方が違えば友達になれたかもしれないと考えると残念です。
いや、よく考えたら呪いを返してくる天使とは仲良くできそうもないですね。
最後に位置を確認できたときは、私が洗脳した軍隊長が近い場所にいたはず。
その軍隊長も洗脳が解けてから消息が掴めない、最高司教もだ。
これは呼び出した天使に揃って消された可能性もありますね、人智の及ばぬ存在を呼び出し滅ぶのも人間らしい営みだと思います。
しかし、呪いを解いてから殺すというのはなんだか変な感じですね、放っておけば死ぬ相手を救ってから殺すなんて回りくどい真似するでしょうか。
現地で確認をしに行った方が良いですかね、用がないとさっさと移動した手前情けないですが仕事ですし。
リモートで他勢力の天使の実力を確認するだけの簡単な仕事だったはずなのに、最後に消息を立ったのが海の辺りですか。
「それでは出かけてきますので、店番をお願いしますよー。
お得意様が来たら新作の神像を高値でふっかけてくださいねー、あの客はヘラ神と聞けば飛びつくはずですからー。」
趣味でやっている店を配下に任せて私は外出の準備をします。
sideノエール
お風呂上がりに小娘の尻を叩いて、もう一度風呂に入り直しました。
いやー良いことをしてかく汗は気持ちがいいですね!まぁ汗なんてかかないんですけど。
それにしても手の込んだ旅館ですね、アドリアネ先輩が建てたらしいですが、なんで休暇にきて仕事してるんでしょう?
アーシが休みを貰えるなら絶対買い物に行くのにな、でも仕事の合間にも買い物はできるし、同じ天使だけあって先輩もアーシも似ているのかも。
「くあぁぁー、やっぱり風呂上がりにはフルーツ牛乳っすね!」
裸で腰に手を当てて飲む、たしか地球のマナーでしたよね?えっ違うんすか?
服を着てないと怒られるんですか、アドリアネ先輩に怒られる!?
急いで浴衣を羽織ると、横から綾人さんが来て着付けを直してくれます。
うーん、この人やりますね。
こういった気遣いがモテポイントなんすかね、さっきから矢鱈と良い匂いがしますし、文明の栄えていないこの世界で身綺麗なことも性格によるものでしょうかね。
「なんなんですかね、アーシの男の趣味が変わった?マッチョが好きだったんですけど、綾人さんはお世辞にもマッチョでは無いっすよね?」
気になった事はなんでもアドリアネ先輩に聞いてみる、これはアーシが天使になった頃からの鉄板、だいたい何でも教えてくれますから。
「さぁ?なんででしょうね、一つ考えられるのは綾人さんの身体は私の分身体ですから、それが関係しているのかもしれません。
昔から神の寵愛を受けやすい人はいましたからね。」
寵愛を受ける魂とアドリアネ先輩の分身体の組み合わせによる化学反応なのかな。
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