ツミなキミにときめいちゃう
闇野ゆかい
第1話妬く彼に…
ちゅー、とガラスのコップに差し込まれたストローを咥えアイスコーヒーを啜っていた。
テーブルを挟んだ正面の椅子に座る彼——多村悠人が疑惑を抱く瞳で私を見据えている。
「……」
「あ、あの……ゆ、悠人、私って何かした?」
私は彼の威圧感に萎縮しながら、逆上されるのを恐れながら恐る恐る訊く。
「……
「えっ?仲里くんは……仲良くしてくれる優しいクラスメイトって、思ってるよ。どうしたの、悠人?」
「ふぅ〜ん……俺といるときよりも楽しそうにしてたじゃん、美桜凛。なんか……ムカつく」
不貞腐れた表情で、拗ねる彼。
「そんなこと、ない……よ。悠人といるときが一番楽しいよ、私。ごめん……」
私は返事を淀みなく返せなかった。仕方ないじゃん……普段の行いがアレなんだから。
自覚してないのが罪なんだよ、悠人は。
「あっ、いや……美桜凛に、じゃなくて。あいつがって……ごめん」
彼は私のぎこちない返答に、歯切れ悪く傷つけたことを謝る。
「……食べ終えたらさ、続けない?私ん家、ならだけど……どうかな、悠人?」
「い、良いの?」
「良いよ、私は。悠人が私と居たくないなら、解散でもいいけどさー」
「嫌だ……美桜凛と居たい、もっと」
彼がボソッと呟いて、聞こえる声で意思表明をした。
「じゃあ……食べきろうね、早くそれを」
「ん、そうする」
彼は素直に従い、皿に載った残りのケーキを口に運ぶ。
「ほんと、罪なひとだなぁ……」
「ん?」
私が独り言を呟くと、彼がケーキを口に含みながら膨れた頬のまま見つめてきた。
「なんでもないよ。気にしないで」
と、私は彼に返すのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます