Ⅱ
Ⅱ
広島駅のタラップに降りた俺は、黒のリュックバックを担いで改札口へとトボトボと歩き始めた。改札口を抜けると、割りと広いコンコースがあり、出口に向かって歩いていると、観光ガイドのコーナーがあったので、市内の観光地を詳しく表しているパンフレットがあったので、一枚手に取ると、近くの椅子に腰かけてパンフレットを広げて市内地図を眺めた。何処に行ってみるかな~と地図を眺めた。まぁ、広島と言えば、先ずは平和公園と原爆ドームだよな。ヨシッ平和公園に行ってみよう。と広島駅を出た勇二は駅前の商店街をぶらぶらした。そうすると何だか腹が減ってきたな~と思い、広島名物のお好み焼き店に入っていった。店に入ってみると、まだ昼時前なのに店の半数ぐらいが埋まっていた。店に入った俺を見ると。カウンターの中で手拭いで、頭を覆った中年の小太りのおかみさんが大きな声で、
「ハーイ! いらっしゃい」と声をかけられた。俺はカウンターの前に座り、板壁に張ってあるメニューを眺めて、
「豚玉の牡蠣入りをお願いします」と言うと、
「はい、豚玉
大きな声で右サイドに声をかけた。そこにはやはり高齢のおじちゃんが座って蒸し器を見ていた。そばの出来を見ているのだ。店の中は油の跳ね返りを受けて、黒光りしていた。二つ有るテーブル籍を入れても二十人はいれば一杯だろうか。カウンターの中のおばちゃんがお好み焼きを作っているのだが、年期が入っていて手先が素早い。感心してみていると、
「あんさん! どっから来なさったかね」と訪ねられた。
「東大阪市からだよ」
「ほう、大阪からね、観光かい?」
「まぁ、そんなとこかな」適当に答えた。
「この後、何処に行くんじゃ」
「特に決めてないけど、先ずは平和公園に行ってみたいと思ってます。そうだ、おばちゃん! 後で平和公園までの行き方を教えてよ」
「はいよ、了解じゃ。もし時間があるのなら、宮島まで足を伸ばしたらどうじゃね、鹿も沢山いるし、厳島神社もあるでよわ、」笑って答えてくれた。俺はおばちゃんの手元を見ていたが、流石にベテランのおばちゃんやな-と感心した。手際がとてもよく薄く生地を引いたのかと思うと、具材をならべ、俺がビックリしたのは、その上にキャベツの千切りを山のように盛り付けたのだ。後はゆで麺をのせたかと思うと、玉子を割り平たく焼くとその上に器用にひっくり返し、あれだけのキャベツの千切りを平たくなるまて、コテを軽く押し当て、ここは有名なオタフクソ-スとマヨネ-ズで仕上げていった。芸術品だね。
「はいよ! 出来上がったよ」と俺の前にお好み焼きを押しやり、大小のコテを添えてくれた。一口食べると、熱かったけどヤッパリ広島のお好み焼きは噂どおり旨かった。熱いお好み焼きを一口食べては、瓶ビールからビールを一杯、はフッはフッ、……んー堪らん❗ 旨くてすぐに平らげてしまった。
「ゴッソサン! 旨かったよ」
「はいよ、ありがとさん」
「おばちゃんももう何万枚も焼き続けてきたんだろうね、なにか楽しいこと有った?」
「そりゃ、お客さんが美味しいと言ってくれて、その笑顔を見るのが嬉しいのさ」
「ふーんそんなものなのか」俺は人を喜ばしたことなど無いので、おばちゃんの笑顔がとても新鮮に映った。そして俺は、おばちゃんに平和公園までの道順を聴いて、店を出た。取りあえず広島駅に引き返し、紙屋町西駅まで移動した。観光パンフレットを見るとここからは原爆ドームが近かったので、そこまで歩いていくことにした。ぷらぷらと歩いてドームに着くと、見るも無惨な姿の建物があった。屋根は吹き飛び戦争の悲惨さを実感できた。
「あ~あ、酷いもんだな」思わず俺もため息をついた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます