第163話 熊岱市ダンジョン①
どうにかギャン泣きした
「せっかく来たんだし、ちょっと中を覘いてみたいところだが……」
だが、ここは自分ちの敷地内にあるダンジョンとは勝手が違う。国有であり、管理者は県であり、実質の管理は地元警察署という複雑さ。
県警からの間引き依頼を受けているとはいえ、勝手に潜ってはさすがにまずいだろう。いざ潜ろうとするときにどこに連絡すればいいのだろうか?
とりあえず、地元の警察署のダンジョン課に電話をしてみたところ、話は聞いているので、魔物を間引きしてくれるのなら勝手に入ってくれて構わないとのことで拍子抜けしてしまった。
幸い、入口に掛けられている鎖には鍵の類はなく、両端がフックに掛けられているだけだったので容易に外すことが出来た。
こんなセキュリティで大丈夫なのかとも思ったが、さすがに監視カメラとセンサーのようなものは完備されていて、おそらく警察署で監視できてはいるのだろう。
どうしようか。
ここで軽トラで突入していってもいいものか?
おそらく、監視カメラには録画機能もついているから軽トラでダンジョンに突入する衝撃映像が記録として残ってしまう。
ある程度の関係者には軽トラや美剣の情報は知られているとは思うが、どこまで周知されているかはわからない。
ここの警察署の担当者まで周知されていなければ、いらぬ騒ぎになってしまいかねない。
「よし、今日は歩いて潜ってみるか」
「そうですね。担当者さんと顔見知りになるとかするまではその方が無難ですね」
「にゃー、腹ごなししたいのにゃ」
よし、じゃあ準備するか。
探索に必要な道具は軽トラのストレージ内に収納してあるので、荷台の幌の中で着替えて装備を整える。
「おーし、じゃあ、軽く1階層を流すか。状況によっては2階層も行くけど、3階層のダークゾーンは軽トラなしだと厳しいから今日は保留な」
「「はい(なのにゃ)」」
オレ達は入口の鎖を外し、監視カメラに目礼してダンジョンに潜入した。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「に”ゃあああああああああ!!」
最初の玄室で美剣が絶叫する。
別に何かあったわけではない。
ただ、ここのダンジョンでも大声で魔物がポップするのか確認してみただけだ。
「出てこないのにゃ」
「そうですね。どうやら、大声で魔物がポップするダンジョンは珍しいみたいです」
「ふむ、ま、予想どおりではあるな」
最初の玄室から通路に出て、つぎの玄室の扉の前に立つ。
オレは、さっき買ったばっかりのバックラーとハルバードを装備しての緒戦だ。
さて、扉を開けようか。
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