第161話 念願のマンガ肉

 センター長さんからの猛烈セールスをなんとかしのいだオレ達は、売店に行って装備を買い求めた。


 『理力盾』のスキル発現によって、実際の盾面積よりも広い理力の守備範囲を手に入れたので、盾を新調したのだ。

 

オレが今まで使っていた機動隊払い下げのジュラルミンの盾は片手で持てないこともないのだが、やはり両手持ちでこそ防御力を発揮するタイプである。

 

 せっかく盾の面積が小さくても大丈夫なスキルを身に着けたのだから、片手で取りまわせるバックラーを購入。イメージは星座に連なる聖なる闘士の人が左の手首から肘の部分に固定しているやつみたいな感じだ。


 そうすると右手が空くので、晴れてオレも武器を装備する事となった。


 いや、いままでも補助としてアウトドアのショップで買った手斧は腰に下げていたのだが、いかんせんそれはキャンプ用であり、魔物相手には心もとない。


 なので、今回は本格的な武器を買う事にした。


 オレの新武器は、柄の長さが1mほどのハルバード。短槍でもあり、斧でもあるという、突いてよし、払っても良しの攻撃に特化した武器だ。


 『君主ロード』らしく片手剣にしようかとも悩んだのだが、カシナー〇でなければなんだかなという謎の戸惑いが発生したのでハルバードにした。


 なんとなくだが、オレは剣よりも斧に適性がある気がする。まあ、国家資格の講習の時は盾にしか適性を示さなかったので単なる勘ではあるのだが。


 で、バックラーが40万、ハルバードが60万で計100万円と結構な額になり、これで見事熊岱市のダンジョン購入の資金は不足となった。


 オレがそれらの買い物をしている姿を見たセンター長さんは「また稼いでくるんでしょうね?」と言いたそうな目をしてこちらをにらんでいたが。


 そういえば、軽トラと美剣のことを絶対突っ込まれると思っていたのだが何にも言われないな? 

 もしかしてダンジョンのセールスに夢中で忘れているのだろうか?







 


 そうして買物を終えた後は、美剣みけお待ちかねのレストランだ。

 

 探索者センターの建物は、駐車場から500m以内にあるので、美剣も人型のままでの活動に問題はない。


「はふぅ、はふぅ、熱いニャ。でも美味いニャ。熱いニャ。美味いニャ。はふぅ。」


 あーあー、口の周りを肉汁だらけにしちゃってからに。

 

 どうにも猫舌と食欲が勝負して食欲が勝利しているような食べっぷりだが、待望の焼きたてマンガ肉を楽しんでいるようで何よりだ。


 オレとマナミサンもマンガ肉とランチAセット(ライスとコーンスープとミニサラダ)を頼み、舌鼓を打つ。

 本当は生ビールも頼みたかったのだが、さすがに運転があるので我慢した。悔しいのでテイクアウトも頼み、家に帰ってからそれをつまみに飲んでやろうと心に誓う。


 お約束のダンジョンまんじゅうとダンジョンカレーも買い込み、「熊岱市のほうを観光ダンジョンにしたらおみやげコーナーの建物も立てないとですね」とマナミサン。

 

 すっかりダンジョンを購入して不労所得の収入源にする気になっているようである。


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